ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

いよいよ待ちに待ったゴールデンウィークがやって来ましたね。もう既にお休みに入った方もいらっしゃるかと思いますが、3日から5連休という方が多いのではないでしょうか。北海道は桜もそろそろ満開ですので、桜を見に行くのも良いですよね。もちろん逆にゴールデンウィークは接客業など仕事柄忙しいという方もいらっしゃるかと思います。私達はそのような方々のおかげで楽しい休みを満喫できますので、本当に有難いことだと思います。

それでは今日の本題に入って参りましょう。今回は前回の延滞税の続きになります。延滞税が課せられるもう一つの例は贈与税の無申告が税務調査で指摘され、追徴された場合です。贈与税の税務調査は9割近くが無申告事案です。

これは脱税を意図したというよりは、親族間で贈与の意識が希薄であったため贈与税の申告をしなければならないという考えに至らなかったケースや、贈与の意図はあったが住宅取得等資金の贈与税の非課税制度の適用により納税額がゼロになるため、贈与税の申告をする必要がないと思い込んでいたケース(納税額がゼロでもこの場合は申告しなければならない。)などが殆どだと思われます。

具体的な日付と金額を入れて考えてみましょう。例えば平成27年に親から住宅取得等資金1,000万円の贈与を受けたとします(住宅取得等資金の贈与税の非課税制度の要件は満たしているとします)。そして贈与税の申告期限である平成28年3月15日までに贈与税の申告をせず、その後税務調査で無申告の指摘を受け平成29年3月15日に期限後申告を行い、平成29年6月15日に納付したとします。

住宅取得等資金の贈与税の非課税制度は期限内申告でなければ適用を受けることができませんから、この場合は通常の暦年課税になります(相続時精算課税制度の適用を受けていない場合)。この場合の贈与税額(本税)は(1,000万円-基礎控除110万円)×30%-90万円=177万円になります。平成27年以降、親など直系尊属からの贈与については原則として一般の贈与よりも低い税率が適用されていますが、それでも本税だけでこれだけ追徴されるわけです。これに無申告加算税と延滞税が加わります。

延滞税に係る税率は平成28年3月16日から平成28年12月31日までが1.8%、平成29年1月1日から5月15日までが1.7%、平成29年5月16日から6月15日までが9.0%となり、延滞税額は約5万円となります。無申告加算税が50万円×15%+(177万円-50万円)×20%=329,000円ですから、合計約38万円の附帯税を余分に払うことになります。

非課税だと思っていたのが、本税と併せると約215万円も追徴されるわけですからただごとではありませんね。無申告の恐ろしさがお判り頂けるのではないかと思います。贈与については税務署も全ての贈与を把握するのは現状難しく、無申告だからと言って必ずしもすぐに税務調査が入るわけではありませんが、何かをきっかけに贈与の事実が判明することがあります。

例えば贈与時点では税務署は贈与の事実を把握しておらず、その後相続が発生したタイミングで被相続人から相続人に生前贈与があったことがわかるケースです。相続案件では税務署は最大過去10年間ほど遡って被相続人の預貯金記録を調べますし、必要に応じて相続人の預貯金記録も調べますから、そこで贈与の事実が判明することがあるわけです。

また、住宅取得等資金の場合は不動産の登記情報からわかるケースもあります。登記情報は定期的に法務局から税務署に提供されていますから、その登記情報に載っている不動産の原資を調べていくうちに贈与の事実が判明することがあるわけです。

国税庁では近年贈与税の無申告案件の調査に力を入れています。また、来年(平成30年)からは任意とはいえ銀行等取引にもマイナンバー制度が適用されるようになりますから、今後は預貯金の大きな動きがあった場合で無申告の時は税務調査が入る可能性は高くなるものと考えられます。

このように贈与税の無申告で追徴されると納税者としては大きな痛手を受けるわけですが、それを防ぐためには親族間などで大きな金銭のやり取りをする時は、贈与税の申告が必要になるかどうかを必ず検討してください。具体的には年間110万円を超える贈与を受ける予定がある時は申告する必要があり得ると考えて、早めに税理士に相談されることをお勧めします。

贈与については贈与の際にするべきことや生前贈与と相続の関係など、注意点が多岐に渡ります。今日全てを書くことはできませんので、また日を改めて当ブログで詳しく書くつもりです。延滞税については以上になります。次回は過少申告加算税についてです。次回もぜひご覧ください。

それでは今週はこの辺で。
また来週お目にかかります。