ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

先月は北海道胆振東部地震のためブログをお休みさせていただきました。今月に入ってから電力供給は安定してきて街に明かりも戻ってきましたが、一番被害がひどかった厚真町・安平町・むかわ町はまだまだ大変な状況のようです。冬の到来の前に復旧することを心から願っています。

それでは本題に入って参りましょう。今回は小規模宅地等の特例のうち、特定事業用宅地等について見ていきたいと思います。特定事業用宅地等に該当すると、原則として400㎡までは課税価格が80%の減額になります。地積400㎡で相続税評価額が3,000万円の特定事業用宅地等であれば、2,400万円もの減額となります。適用税率が最低の10%だとしても240万円の節税になり、一番多い適用税率だと思われる15~30%であれば360万円から720万円もの節税になるわけです。このように非常に重要な特例ですから、適用要件をしっかりと確認し、適用漏れがないように十分注意しなければなりません。

もう少し詳しく見ていきましょう。

特定事業用宅地等とは、

①被相続人等(被相続人又は当該被相続人の生計同一親族)の事業(貸付事業を除く。)の用に供されていた宅地等で、

②一定の要件を満たす当該被相続人の親族が、


③相続又は遺贈により取得したもの

をいいます。

それでは順番に見ていきましょう。

①は被相続人等の事業の敷地等であったということですが、貸付事業の場合は貸付事業用宅地等に該当しますから、特定事業用宅地等に該当し得る事業というのは、貸付事業以外の事業ということになります。事業といっても小売店、飲食店、工場など色々ありますが、同族会社などの法人が行う事業の場合は後日解説予定の特定同族会社事業用宅地等になりますので、ここでの事業は個人事業ということになります。

②の「一定の要件」は、具体的には次の2つです。原則として2つとも満たさなければなりません。

イ 相続開始時から相続税の申告期限まで宅地等の保有を継続していること(保有継続要件)。
相続等により取得した宅地等を申告期限までに売却等してしまうと、小規模宅地等の特例の適用が受けられなくなってしまいますので、十分注意してください。

ロ 相続開始時等から相続税の申告期限まで事業を承継・継続していること(事業継続要件)。
申告期限まで宅地等は保有していたとしても、事業をそれまでにやめてしまえばやはり小規模宅地等の特例の適用が受けられなくなってしまいますので、十分注意してください

③は貸付事業用宅地等と同様に「相続又は遺贈により」となっていますので、生前贈与は適用不可(相続時精算課税であっても不可)であることに注意します。ただし死因贈与は相続税法上は遺贈と同様の取り扱いになりますから、死因贈与であれば適用可能です。

特定事業用宅地等については以上になります。次回からは特定同族会社事業用宅地等についてお話ししていく予定ですので、またぜひご覧ください。

それでは今週はこの辺で。
また再来週お目にかかります