ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

メジャーリーグで大谷翔平選手が大差で新人王を獲得しましたね。日本人では野茂英雄投手、佐々木主浩投手、イチロー選手に続く4人目の快挙となりました。そうそうたる顔ぶれですね。投手としては故障があり活躍できたのは最初だけでしたが、野手として22本のホームランは凄かったと思います。他に日本人メジャーリーガーでシーズン20本以上のホームランを打ったのは松井秀喜選手だけですが、松井選手も1年目はメジャー特有の手元で動くボールに苦しみ16本に終わりました(2年目に自己最多の31本)。大谷選手は1年目でしかもフル出場していないことを考えると驚異的な数字ですし、その適応力の高さには感嘆するばかりです。来年も大谷選手の更なる進化が今からとても楽しみです。

それでは本題に入って参りましょう。前回までは特定居住用宅地等(限度面積330㎡)・貸付事業用宅地等(限度面積200㎡)・特定事業用宅地等(限度面積400㎡)特定同族会社事業用宅地等(限度面積400㎡)の4つの小規模宅地等の特例を順番に見てきました。今回はこの4つの特例のうち複数の特例が適用可能な場合の限度面積について解説していきたいと思います。適用要件を満たしていれば複数の特例について適用が可能ですが、限度面積の制限に注意が必要です。限度面積については、貸付事業用宅地等を選択する場合としない場合等で大きな違いがありますので、それぞれについて順番に見ていきましょう。

(1)貸付事業用宅地等を選択する場合
限度面積は①から③までの合計で200㎡までとなります。

① 特定事業用宅地等(限度面積400㎡)特定同族会社事業用宅地等(限度面積400㎡)の合計面積÷400×200
② 特定居住用宅地等(限度面積330㎡)の合計面積÷330×200
③ 貸付事業用宅地等(限度面積200㎡)の合計面積

これはどういう意味かというと、それぞれの限度面積を200㎡に換算して合計したものが200㎡を超えないことが必要であるということです。貸付事業用宅地等はアパート等の敷地で面積が大きめの場合が多いですから、貸付事業用宅地等だけで限度面積を超えてしまい、他の特例が適用できないケースも出てきます。かなり厳しい限度面積であるということが言えますね。

(2)貸付事業用宅地等を選択しない場合(あるいはそもそも貸付事業用宅地等がない場合)

① ②に関わりなく、特定事業用宅地等(限度面積400㎡)特定同族会社事業用宅地等(限度面積400㎡)の合計で400㎡まで
② ①に関わりなく、特定居住用宅地等は合計330㎡まで

(1)に比べると限度面積の制限がかなり緩いことがお分かりになるかと思います。①と②はお互いに関係なくそれぞれの限度面積まで適用可能な完全併用(最大で730㎡)が認められています。そうすると、貸付事業用宅地等があってもあえて選択しない方が相続税額が少なくなって有利になるということも十分考えられます。実際には配偶者の税額軽減など他の特例との兼ね合いや二次相続が想定される場合はそれとの兼ね合いなども考えながら、いくつかの遺産分割・特例選択パターンを試算してみる必要があります。

複数の特例が適用可能な場合の限度面積については以上になります。次回は小規模宅地等の特例の申告に当たって注意すべき点などについて解説します。次回もぜひご覧ください。

それでは今週はこの辺で。
また再来週お目にかかります