ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。更新が一週間遅れてしまい申し訳ありません。

将棋の羽生善治九段(永世七冠)がついに大山康晴十五世名人の通算最多勝記録を更新しましたね。1434勝というのも凄い数字ですが、通算勝率が7割を超えているのも驚異的です。羽生九段の同世代は羽生世代と言われるほど強豪が多く、森内俊之十八世名人や佐藤康光永世棋聖(現日本将棋連盟会長)など猛者揃いですが、そのような厳しい中でこれだけの数字を積み重ねてきたのは本当に凄いことだと思います。まだまだ記録を更新していくと思いますので、将棋ファンとしてはこれからもとても楽しみです。

それでは本題に入って参りましょう。今回は土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内にある宅地の評価についてです。これは厳密に言うと今年度の税制改正項目ではないのですが、財産評価基本通達に新設され平成31年1月1日以後の相続、遺贈又は贈与から適用になっていますので、ここでご紹介する次第です。

近年は災害が多く、昨年の西日本豪雨や北海道胆振東部地震も記憶に新しいところですが、こうした豪雨や地震などで土砂災害の被害も数多く発生しています。土砂災害に関しては平成13年4月から土砂災害防止法が施行されており、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)が指定され、注意喚起等がされているところです。特に土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定されますと、土地の造成などの開発行為や建築物の建築等に一定の制限がかかります。また、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内の不動産取引に関しては重要事項説明書にその旨を記載しなければなりません。

このように土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内の宅地については利用制限がかかることによる減価が生じますので、それを評価に反映させる必要があります。これまでは個別評価(利用価値が著しく低下している宅地の評価等)により評価してきたものと思われますが、令和元年度中に土砂災害防止法に基づく基礎調査が完了し、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)等の指定件数がますます増えることが見込まれることから、財産評価基本通達上で評価方法を明確にしたということになります。

具体的には、特別警戒区域補正率表を用いて、宅地の総地積に対する特別警戒区域(レッドゾーン)の地積割合が10%以上40%未満の場合が特別警戒区域補正率0.90(1割減額)、40%以上70%未満の場合が特別警戒区域補正率0.80(2割減額)、70%以上の場合が特別警戒区域補正率0.70(3割減額)となります。また、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内の宅地はがけ地を含むケースも多いと考えられますが、その場合は上記の特別警戒区域補正率表の補正率にがけ地補正率(がけ地の方位と地積割合に応じて0.53~0.96)を連乗して小数点以下2位未満を切り捨てた数値が特別警戒区域補正率になります。ただし、最小値は0.50となります。つまり最大で半額になるということですね。

したがって、宅地の評価に当たってはその所在する区域が土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定されているかどうかを調べる必要があります。各都道府県のホームページでも公表されていますが、指定されている区域は意外と多いです。もちろん宅地の評価だけではなく、自分の住んでいる所などが指定区域になっているかどうかを知るのは防災上の観点からも重要です。一度確認してみてください。

土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内にある宅地の評価については以上になります。次回も税制改正について詳報します。更新は3週間後を予定しています。ぜひご覧ください。

それでは今週はこの辺で。
また来月お目にかかります。