ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

今日は2月29日、いわゆるうるう日ですね。うるう日生まれの有名人には作家の赤川次郎さんや女優の飯島直子さんがいるようです。うるう日の出来事としては4年前の2月29日に東京スカイツリーが完成しています(開業は同年5月22日)。古いところでは二・二六事件が終息したのが1936年の2月29日だそうです。今日でちょうど80年ということになります。うるう日生まれの人は4年に1度しか年をとらないとよく冗談で言いますが、今日はその貴重な4年に1度の2月29日ですね。お誕生日の方は本当におめでとうございます。

それでは今日の本題に入っていきましょう。今回は財産債務調書についてご説明していきます。財産債務調書は今年から新しくなった制度で、昨年までの財産債務明細書を衣替えしたものですが、財産債務明細書の時とは提出義務者等が変わっています。名称が似ていますので混同しないように注意してください。また、国外財産調書の提出義務がある方で財産債務調書の提出義務もある方は、両方とも提出しなければなりませんのでその点にも注意してください。

まず提出義務者についてですが、①所得税及び復興特別所得税の確定申告書を提出しなければならない方で、②その年の総所得金額及び山林所得金額の合計額が2,000万円を超えており、③その年の12月31日現在においてその価額の合計額が3億円以上の財産またはその価額の合計額が1億円以上である国外転出特例対象財産(有価証券等)を有する場合は、財産債務調書を提出しなければなりません。

財産債務調書の対象者は少ないように見えるのですが、後述するように自社株を多数保有する経営者等は対象者になる可能性が十分にありますので注意が必要です。

①の要件は国外財産調書とは異なっています。給与所得者や公的年金等受給者で確定申告が不要な方は財産債務調書についても提出義務がありません。

②の所得要件は従来の財産債務明細書の時と同じです。ちなみに国外財産調書についてはこの所得要件はありません。所得要件を判定する上で退職所得は合計額に含めませんが、不動産の譲渡所得等がある場合はそれを含めます。また、特別控除や繰越控除がある場合はその適用後の金額で2,000万円を超えているか否かを判定します。

③は財産債務明細書の時にはなかった要件で、財産債務調書で新たに追加されたものです。この要件の分だけ対象者が従来より絞られたことになります。国外転出特例対象財産(有価証券等)についてですが、これは国外転出時課税制度の対象となる財産をいいます。国外転出時課税制度については昨年当ブログで連載しましたので、詳細は下記のアドレスから参照してください。

国外転出時課税制度について(パート1)海外出国編
http://souzoku-sapporo.jp/%E7%A8%8E%E5%88%B6%E6%94%B9%E6%AD%A3/%E5%9B%BD%E5%A4%96%E8%BB%A2%E5%87%BA%E6%99%82%E8%AA%B2%E7%A8%8E%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%EF%BC%88%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%88%EF%BC%91%EF%BC%89/
国外転出時課税制度について(パート2)生前贈与編
http://souzoku-sapporo.jp/%E7%A8%8E%E5%88%B6%E6%94%B9%E6%AD%A3/%E5%9B%BD%E5%A4%96%E8%BB%A2%E5%87%BA%E6%99%82%E8%AA%B2%E7%A8%8E%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%EF%BC%88%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%88%EF%BC%92%EF%BC%89%E7%94%9F%E5%89%8D%E8%B4%88/
国外転出時課税制度について(パート3)相続・遺贈編
http://souzoku-sapporo.jp/%E7%9B%B8%E7%B6%9A/%E5%9B%BD%E5%A4%96%E8%BB%A2%E5%87%BA%E6%99%82%E8%AA%B2%E7%A8%8E%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%EF%BC%88%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%88%EF%BC%93%EF%BC%89%E7%9B%B8%E7%B6%9A%E3%83%BB/

③の要件は少しややこしいのですが、まずは国内・国外合わせた全ての財産が合計で3億円以上あるかどうかを判定してください。総額で3億円以上ある場合は財産債務調書の提出義務があります。次に、もし総財産が3億円未満だとしても、有価証券等が1億円以上あるかどうかを確認してください。内外問わず有価証券等が1億円以上あれば財産債務調書を提出しなければなりません。つまり提出しなくてよいのは、総財産が3億円未満で、かつ、そのうち有価証券等が1億円未満である場合に限ります。

財産債務調書の対象になる方はそれほど多くはないでしょうが、自社株を保有する経営者等は対象者になる可能性があります。自社株の金額は資本金等の額ではなく、原則として簿価純資産価額となります。つまり利益剰余金等のいわゆる内部留保も含めた金額となり、社歴の長い会社などは思った以上に大きな金額になることがありますので、十分な注意が必要です。

少し長くなりましたので、今日はここまでといたします。来週は財産債務調書の続き、そして今年の確定申告特集の最終回となります。申告期限も段々迫って来ましたが、来週もぜひご覧ください。

それでは今週はこの辺で。
また来週お目にかかります。