ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。
先週はブログをお休みさせてもらいましたが、今週からまた再開していきたいと思います。
改めてよろしくお願いいたします。

札幌では恒例のYOSAKOIソーラン祭りが始まりました。
プロ野球は交流戦がいよいよ大詰めですね。
私が応援する阪神も日本ハムも好調なので嬉しいです。
一方、毎年交流戦で流れが変わって明暗が分かれることがよくありますが、今年はDeNAでしょうか・・・正念場でしょうがここまで盛り上げてくれているので、なんとか踏ん張ってもらいたいところです。

サッカーはなでしこジャパンが連覇に向けて好スタートを切りましたね。
女子サッカー界の「カズ」とも言うべき澤選手は代表通算200試合(!)出場を勝利で飾りました。頑張ってもらいたいです。

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さて、本題に入ってまいりましょう。
前回までは相続税の増税についてお話ししてきました。
思った以上に影響が大きいことはおわかり頂けたのではないかと思います。
今週からは贈与税の改正についてお話ししていきます。

タイトルにもありますように生前贈与は相続対策のイロハのイ、王道とも言えるものですが、今年からは相続税とは対照的に贈与税は基本的に減税となりました。
したがって、今まで以上に生前贈与を上手に活用することが相続対策を成功に導くカギとなります。 まずはいつものように速算表をご覧ください。

<改正前(平成26年12月31日まで)の暦年贈与> 

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
200万円超  300万円以下 15% 10万円
300万円超  400万円以下 20% 25万円
400万円超  600万円以下 30% 65万円
600万円超  1,000万円以下 40% 125万円
1,000万円超 50% 225万円

<改正後(平成27年1月1日から) 通常の暦年贈与(一般贈与)> 

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
200万円超  300万円以下 15% 10万円
300万円超  400万円以下 20% 25万円
400万円超  600万円以下 30% 65万円
600万円超  1,000万円以下 40% 125万円
1,000万円超  1,500万円以下 45% 175万円
1,500万円超  3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

<改正後(平成27年1月1日から) 直系尊属からの暦年贈与(特例贈与)> 

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
200万円超  400万円以下 15% 10万円
400万円超  600万円以下 20% 30万円
600万円超  1,000万円以下 30% 90万円
1,000万円超  1,500万円以下 40% 190万円
1,500万円超  3,000万円以下 45% 265万円
3,000万円超  4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

緑色の部分が今回基本的に減税になったところ、赤い部分が基本的に増税になったところです。

暦年贈与というのは相続時精算課税制度によらない通常の贈与のことです。
相続時精算課税制度についてはまた日を改めてご説明したいと思います。
暦年ですからその名の通り、暦(カレンダー)での年、つまりその年の1月1日から12月31日までの贈与を指します。

具体的には受贈者(もらう側)が、その年の1月1日から12月31日までに贈与を受けた財産の総額を集計し、110万円の基礎控除を差し引いた残り(課税価格)に対して上記の速算表を基にして贈与税を計算します。
つまり、毎年110万円までは贈与税を払うことなく贈与できるということになります。

ここでひとつ注意しなければならないのは、あくまでも受贈者ベースで集計しますから、もしお孫さんに110万円を渡して、贈与税がかからないように贈与したと思ったとしても、そのお孫さんが他の方からも同じ年に贈与を受けていれば、それも加算されますから結果的には贈与税がかかってしまいます。

例えば自分は母方の祖父で、お孫さんに110万円を贈与したとして、もし父方の祖父も同じことを考えてそのお孫さんに110万円贈与していたとすれば、合計で220万円ですから、そこから基礎控除額110万円を差し引いた残りの課税価格110万円に対して贈与税(この場合だと11万円)がかかることになり、お孫さんは申告したうえで納税しなければなりません。
贈与する場合はその辺りの確認を十分に行う必要があります。

今回の改正の大きな特徴は、ご覧のように今まで一本だった贈与税の税率が二本立てになったことですね。
直系尊属からの贈与(ここからは「特例贈与」といいます。)、つまり親から子、あるいは祖父母から孫への贈与については、それ以外の贈与(ここからは「一般贈与」といいます。)に比べてより低い税率等が適用されることとなりました。

ただし、特例贈与の税率は、受贈者である子や孫が贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上である場合に適用されますから、20歳未満の場合は一般贈与になる点に注意してください。
また、特例贈与はあくまでも直系尊属からの贈与ですから、配偶者の親(義理の父母)からの贈与は養子縁組をしている場合を除き特例贈与ではなく一般贈与になることも併せてご注意ください。

もう少し詳しく見ていきましょう。まずは一般贈与をご覧ください。
課税価格1,000万円超から1,500万円以下(贈与額1,110万円超から1,610万円以下。ここからは課税価格に基礎控除額110万円を加えた額が贈与額になると考えて読み進めてください。)については税率が50%から45%に引き下げとなっています。
また、課税価格1,500万円超から3,000万円以下については税率は50%で変わりませんが、速算表の控除額が増えていますので、このラインも実質減税ということになります。

一方課税価格3,000万円超になると逆に税率が50%から55%に引き上げになりました。
ただし、速算表の控除額も増えていますので、課税価格3,500万円までは減税となり、それを超えると増税ということになります。
もっとも課税価格3,500万円だと贈与税は1,525万円にもなりますから、かえって相続税よりも高くなってしまい、それほどの高額贈与を一度に行うことはまずないかとは思います。

次にこのブログを読んでいる皆さんにより関係が深いと思われる特例贈与をご覧ください。
課税価格が300万円を超えたところから税率の引き下げ等により減税になっています。
一般贈与よりも優遇されていることがおわかり頂けるのではないかと思います。

一方課税価格が4,500万円を超えると一般贈与と同様に税率が50%から55%に引き上げとなっていますが、これも速算表の控除額が増えていますので、課税価格8,300万円までは減税となり、それを超えると増税ということになります。
もっとも課税価格8,300万円だと贈与税は3,925万円にもなりますから、これも非現実的な贈与だとは思います。

以上まとめますと、贈与税は一部の高額贈与を除けば基本的に減税となりました。
特に直系尊属からの贈与は減税幅がより大きいですから、これを上手く使って生前贈与を行い、相続税の増税に対処するのが賢いやり方です。

長くなりましたので、続きは次回に回します。
次回は生前贈与の具体的な活用方法や、注意点などについて書きたいと思います。
ご期待ください。

それでは今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週はこの辺で。また来週お目にかかります。