ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

先週の爆弾低気圧に引き続いて今週は台風と、2週連続で北海道は大荒れの天気になりました。
950ヘクトパスカル級というだけでも北海道では非常に珍しいことなのですが、それも2週続けてということで、北海道では異例の暴風雨に立て続けに見舞われました。これも温暖化の影響による異常気象ということなんでしょうか。
被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。無事だった方々は無事で何よりだったと思います。

それでは本題に入って参りましょう。
これまで生前贈与の続編としまして贈与税の非課税制度をご紹介してきましたが、今回はその第3弾として住宅取得等資金の非課税制度について書いていきたいと思います。この住宅取得等資金の非課税制度は以前からある制度ですが、平成27年度の税制改正で平成31年6月30日まで延長されるとともに、最大で3,000万円の非課税枠が設けられるなど制度の拡充・手直しが一部行われています。

以前ご紹介した教育資金及び結婚・子育て資金の非課税制度はいずれも金融機関を経由して税務署に申告する流れになっていますので、そういった意味では手続き的には金融機関にお任せできる分だけ楽な部分もあるのですが、この住宅取得等資金については自分たちで申告しなければなりませんので、手続き的な部分も含めて適用要件等を事前にしっかりと確認しておく必要があります。

それでは順番に見て行きましょう。まず贈与者(あげる側)については、父母や祖父母などの直系尊属になります。したがって叔父・叔母などの傍系尊属からの贈与は対象になりませんし、兄弟姉妹からの贈与は傍系であるだけでなくそもそも尊属(上の世代)ですらないので、やはり対象外となります。

また、配偶者の父母なども姻族ですので血族である直系尊属には該当せず、奥さん(またはご主人)のお父さんやお母さんから贈与を受けたとしてもこの非課税制度は使えません。こういったケースは時々あると思いますので十分注意してください。

ただし叔父・叔母や配偶者の父母などと養子縁組をしている場合は養父母ということになりますので、直系尊属からの贈与ということで他の要件を満たせばこの非課税制度の適用が受けられます。

次に受贈者(もらう側)の要件ですが、これは贈与者の裏返しで直系卑属(子や孫など)ということになります。ただし贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上という年齢制限があります。贈与を受けた時に20歳になっていても、1月1日時点で19歳だった場合は非課税制度の適用が受けられませんので注意してください。なお、直系卑属であるか否かの判定時点は贈与を受けた時になっていて、年齢制限とは判定時点が異なりますので、この点にも注意が必要です。

また、受贈者に所得制限があるのもこの制度の特徴です。具体的には贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下である必要があります。これは高所得者である子や孫が贈与を受けたとしてもこの制度の適用は受けられないという趣旨ですが、不動産や株を売ってたまたま所得が2,000万円を超えた年であってもこの制度は使えませんので、十分に注意してください。

さらに、受贈者は原則として日本国内に住所を有している必要があります。ただし例外として、日本国内に住所を有していない場合でも、受贈者が日本国籍を有していて、かつ、贈与前5年以内に受贈者または贈与者のいずれかが日本国内に住所を有していた場合は対象となります。また、受贈者が日本国籍を有していなくても、贈与者が贈与時点で日本国内に住所を有していればやはり対象になります。

この例外に該当するのは次のようなケースが考えられます。この後出てくる要件として、贈与を受けた住宅取得等資金を充てて日本国内において住居を新築・取得(中古を含む)・増改築し、そこに住まなければならないというものがありますので、受贈者が贈与時点では海外勤務や留学などで日本に住んでいなくても、近いうちに日本に帰国する予定があるという場合はこの制度が受けられる可能性が出てきます。

こうした要件をすべて満たしていて、かつ、平成26年以前にこの制度の適用を受けたことがない受贈者が、贈与を受けた年の翌年3月15日までに直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金の全額を一定の要件を満たす住宅用家屋の新築・取得・増改築等に充て、同日までにその家屋に居住するか、あるいは遅くとも贈与年の翌年12月31日までにその家屋に居住することが確実である場合は、贈与税の期限内申告をすることによって基本的にこの制度の適用を受けることができます。

全額を充てるというのは、住宅に全く関係のない支出に充ててはいけないというのはもちろんですが、請負・売買契約書の印紙代や仲介手数料、登録免許税や不動産取得税、司法書士や土地家屋調査士に支払う登記手数料といった住宅取得に付随する租税公課・手数料に充てた場合であってもこの制度の適用が受けられなくなりますので十分注意してください。あくまでも住宅の新築・取得・増改築そのものに全額を充てるということです。

長くなりましたので、続きは次回以降といたします。今日は贈与者と受贈者の要件についてお話しさせていただきました。次回以降は住宅用家屋の新築・取得・増改築等に関する具体的な要件、非課税限度額及び手続き的な要件について詳細をご紹介する予定です。次回もお楽しみに。

それでは今週はこの辺で。
また来週お目にかかります。