ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

皆さんは将棋はお好きですか?私は今から40年ほど前の小学生の時に将棋を覚えて、それ以来の将棋ファンです。最近はネットでも将棋中継が見られるようになりました。凄い時代ですね。そしてその将棋界に天才現るということで話題になっているのが、最年少の14歳でプロ棋士になった中学生の藤井聡太四段です。そしてその藤井四段が非公式戦ながらトップ棋士7人と7番勝負を戦うという企画があり、昨日はトリの羽生善治三冠と対局しました。

羽生三冠と言えば将棋に興味がない人でも知っている将棋界のスーパースターですが、藤井四段はその羽生三冠にも見事勝利し6勝1敗で7番勝負を終えました。凄まじい強さですね。そしてこの原稿を書いている時点では公式戦でもプロデビュー以来13連勝中で、無敗の新記録を更新し続けています。末恐ろしい14歳ですね。将棋ファンとしてはこれからがとても楽しみです。

それでは今日の本題に入って参りましょう。前回は附帯税の全体像についてお話ししましたが、今回から各論に入っていきます。今日は延滞税についてです。前回ご説明しましたように延滞税とは、税金を滞納した時などに課せられる税金で、遅延利息に相当するものです。年利率は平成25年までが原則として14.6%、平成26年が9.2%、平成27~28年が9.1%、そして今年(平成29年)が9.0%です。利率が非常に高くなっていますね。

延滞税が課せられる例を2つほどご紹介いたしましょう。まず一つ目が相続税の過少申告が税務調査で指摘され、追徴された場合です。例えば相続税の申告をした後税務調査が入り、財産の申告漏れ等が見つかって修正申告をしたとします。そうすると修正申告で相続税が増額した分だけ滞納していたということになり、申告期限の翌日から修正申告に伴う納税の日までの期間に対応する延滞税が課せられることになります。

具体的な日付と金額を入れてもう少し考えてみましょう。平成26年3月5日に相続が開始したと仮定すると、申告期限は10か月後の平成27年1月5日になります。申告期限内に3,000万円の相続税を申告納付したとします。その後税務調査があり、平成29年1月5日に修正申告(修正後の相続税額は4,000万円)を行い、平成29年4月5日に差額の1,000万円を納付したとします。この場合延滞税の計算対象期間は申告期限翌日の平成27年1月6日から納付日の平成29年4月5日までになります。

ただし延滞税の計算期間には特例があり、法定申告期限の翌日から1年間は利子税と同じ税率に軽減され、その後修正申告に伴う納期限(修正申告書の提出日)までは計算期間の対象外となり、納期限の翌日から2か月間は再び利子税と同じ税率に軽減され、その後は完納の日まで延滞税の原則的な税率になります。ただし、重加算税が課せられるような悪質なケース(隠ぺい又は仮装があった場合)では計算期間の除外の特例はなく、利子税と同じ税率が課せられます。

上記の例にこれを当てはめると、平成27年1月6日から平成28年1月5日までは1.8%、平成28年1月6日から平成29年1月5日までは延滞税の課税なし(ただし重加算税が課せられる場合は課税されます)、平成29年1月6日から3月5日までは1.7%、平成29年3月6日から4月5日までは9.0%ということになります。結構複雑ですよね。

そうすると延滞税はどのくらいになるかと言うと、本来は日割り計算をするのですが簡易的に月割りで計算すると約28万円となります。過少申告加算税100万円(1、000万円×10%)と併せて130万円近くを余分に払うことになるわけですね。これが隠ぺい又は仮装があった場合だと延滞税は約46万円になり、重加算税350万円(1,000万円×35%)と併せて400万円近く余分に払うことになります。このように結構大きな金額になるわけです。

もう一つの例は贈与税の無申告が税務調査で指摘され追徴された場合ですが、長くなりますので続きは次回にいたします。次回もぜひご覧ください。

それでは今週はこの辺で。
また来週お目にかかります。