ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。
北海道日本ハムファイターズの調子が上がってきましたね。このブログを書いている時点で借金6の同率4位に浮上しています。来週からはいよいよ交流戦です。毎年交流戦で流れが大きく変わることがありますし、大谷翔平選手も復帰間近だということですので、交流戦が終わるまでに5割に戻したいところですね。首位楽天とは11ゲームの差がありますが、昨年の大逆転の再現を目指して頑張ってもらいたいです。
では今日の本題に入って参りましょう。今回は無申告加算税の続きです。前回税制改正の情報もご紹介しましたが、実はもう一つ改正事項があります。それは短期間(5年以内)に無申告加算税又は重加算税の賦課が繰り返されたときは課税割合を10%加算するというものです。なお、重加算税については次回以降詳しくご説明いたしますので、今回は無申告加算税に絞って解説していきます。また、過少申告加算税や不納付加算税についてはこのような繰り返しによる加重規定の新設はありません。
それでは具体例で考えてみましょう。前回の例を少しアレンジします。平成28年に親から住宅取得等資金700万円の贈与を受けたとします(住宅取得等資金の贈与税の非課税制度の要件は満たしているとします)。そして贈与税の法定申告期限である平成29年3月15日までに贈与税の申告をせず、その後税務調査で無申告の指摘を受け平成30年4月10日に期限後申告及び贈与税(本税)の納付を行ったとします。そして平成30年5月15日に無申告加算税が賦課され、平成30年6月15日に納付したとします。
今までご説明してきましたように、住宅取得等資金の贈与税の非課税制度は期限内申告でなければ適用を受けることができませんから、この場合は通常の暦年課税になります(相続時精算課税制度の適用を受けていない場合)。この場合の贈与税額(本税)は(700万円-基礎控除110万円)×20%-30万円=88万円、無申告加算税は50万円×15%+(88万円-50万円)×20%=151,000円となります。
それでは無申告加算税の賦課が今回初めてではなかった場合はどうでしょうか。昨年までは無申告加算税の賦課が何回目であっても課税割合(原則15%、20%)が変わることはありませんでしたが、税制改正により今年から10%加重(25%、30%)されるケースが生じることとなりました。上記の例では平成25年4月10日以降に無申告加算税の賦課があった場合には、期限後申告日(平成30年4月10日)から遡って5年以内の短期間に無申告加算税の賦課が繰り返されたということになりますから、無申告加算税は50万円×25%+(88万円-50万円)×30%=239,000円となります。
このようにただでさえ過少申告加算税よりも5%重い無申告加算税が、短期間(5年以内)に繰り返すことによってますます重くのしかかるようになりました。なお、5年以内の判定は前回の無申告加算税賦課日から今回の無申告加算税賦課に係る期限後申告日までで行います。賦課日または申告日で揃っているわけではありませんので、その点は注意が必要です。
相続税について上記の加重規定が適用されることはあまりないでしょう。立て続けに相続が発生し、そのいずれも相続税の申告が必要なケースで、なおかついずれも期限後申告になるというのはレアケースだと思われます。しかし、贈与税については上記の加重規定が適用されることは十分考えられます。特に相続対策等で頻繁に生前贈与を行っている場合は要注意です。贈与を実行するごとに贈与税の申告が必要か否かを十分に検討し、必要な場合は必ず法定申告期限(原則贈与年の翌年3月15日)までに申告を行うことが今まで以上に重要になります。
なお、上記の税制改正は法定申告期限等が平成29年1月1日以後に到来するものに適用されることになっていますが、これは2回目の無申告加算税が加重賦課される申告に係るものです。つまり、2回目の無申告加算税が賦課される申告に係る法定申告期限等が平成29年1月1日以後(上記の例では平成29年3月15日)であれば、1回目の無申告加算税が賦課された申告に係る法定申告期限等がたとえ平成28年12月31日以前であっても、無申告加算税は加重されますので十分注意してください。
無申告加算税については以上になります。次回からは重加算税です。重加算税は加算税の中でも段違いで課税割合が重く、賦課されることは絶対に避けなければならないものです。次回以降詳しく解説していきますので、またぜひご覧ください。
それでは今週はこの辺で。
また来週お目にかかります。