ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。
今回は久しぶりにサッカーの話題からです。コンサドーレ札幌がルヴァンカップの決勝に進出しましたね。J2暮らしが長かったコンサドーレは、3大タイトルであるJ1・ルヴァンカップ(旧ナビスコカップ)・天皇杯の優勝はまだありません。それどころか、ルヴァンカップはナビスコカップ時代を通じて最高がベスト8、天皇杯はベスト4が最高ですから、決勝戦自体が初めてのこととなります。対戦相手はJ1で2年連続優勝の川崎フロンターレ、対戦成績は1勝18敗5分でJ2時代から一番の苦手チームです。場所は埼玉スタジアムですからフロンターレ・サポートが大挙応援に駆けつけることでしょう。明日は強敵相手にしかもほぼアウェイの雰囲気で対戦することになります。厳しい試合になりますが、奇跡を信じて北海道から精一杯応援したいと思います。フォルツァ・コンサドーレ!
それでは本題に入って参りましょう。今回も配偶者居住権の税務の話です。最後は配偶者居住権の消滅時の出口課税について解説していきます。
3.配偶者居住権の消滅時の課税関係(贈与税)
配偶者居住権は、原則として配偶者の死亡によってその役目を終え消滅します。その際に完全な所有権を取り戻す所有者に相続税等の課税はありません。しかし、それ以外にも配偶者居住権の消滅事由はありますから、それぞれの場合に課税関係がどうなっているのか見ていきたいと思います。
(1)配偶者死亡の場合
上記のとおり、相続税・贈与税の課税はありません。
(2)存続期間満了の場合(配偶者居住権が終身で設定されていない場合)
これも(1)と同様に配偶者居住権がその役目を果たして消滅しますので、贈与税の課税はありません。
(3)居住建物が災害等で全部滅失した場合
住む家がなくなってしまったことで、当事者の意に反してやむなく配偶者居住権が消滅します(無価値になります)ので、贈与税の課税はありません。
(4)建物所有者からの消滅請求による場合
配偶者が建物所有者の許可なく勝手に第三者に居住建物を貸し付けるなど、善管注意義務違反があり、建物所有者が是正の催告をしたにもかかわらず期間内に是正がなされなかった場合に、建物所有者は配偶者居住権を消滅させることができます。この場合において、建物所有者が配偶者に対して配偶者居住権の消滅直前における価額相当分の対価を支払わなかったときは、建物所有者に贈与税が課税されます。建物所有者には少し気の毒な感じもしますが、(1)~(3)と違って配偶者居住権にまだ経済的価値が残っていることから、このような課税関係になるものと考えられます。
(5)合意解除による場合
これは当事者が意図的に配偶者居住権をその存続期間中に(配偶者居住権の経済的価値がまだ残っている間に)終わらせたわけですから、(4)と同様に、原則として建物所有者に贈与税が課税されます。
(6)配偶者が配偶者居住権を放棄した場合
配偶者が配偶者居住権を放棄することを建物所有者が了承したことから、(5)の合意解除に近いと考えられますので、(4)及び(5)と同様に、原則として建物所有者に贈与税が課税されます。
なお、配偶者居住権の消滅とともに敷地利用権も消滅しますが、これについても上記(1)~(6)に準じて土地所有者に対する課税関係が成立するものと考えられます。
以上4回に渡って配偶者(長期)居住権について見てきましたが、これで終わりになります。非常に大きな改正になっていることがおわかり頂けたのではないかと思います。他の民法(相続法)改正については、原則として令和元年7月1日以後の相続・遺贈・贈与から既に適用になっていますが、配偶者居住権は短期も長期も令和2年4月1日以後の相続・遺贈からの適用になります。施行前に再度確認しておいてください。
そして15回に渡って連載してきた平成31年度【令和元年度】税制改正についても以上になります。特に民法改正関連が11回を占めておりいずれも非常に重要な内容になっています。必要に応じて随時見直しをして頂ければとても嬉しく思います。次回からはまたテーマを変えて相続関連の記事をアップしていく予定です。またぜひご覧ください。
それでは今週はこの辺で。
また再来週お目にかかります。
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