ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

スポーツの秋ですが、この秋スポーツ界で最も話題になったことと言えば、ラグビー日本代表の活躍が挙げられますね。これまで日本代表のワールドカップ本大会の成績は通算1勝21敗2分と惨憺たるものでしたが、今大会は優勝候補の南アフリカを撃破するなど3勝1敗という好成績を収めました。勝ち点差で惜しくもベスト8は逃しましたが、歴史的快挙と言っても良いかと思います。次の自国開催のワールドカップに向けて弾みをつけましたね。監督は代わりますが、これからもこの調子で頑張ってもらいたいです。

それでは本題に入って参りましょう。
今回は前回に引き続いて住宅取得等資金の非課税制度について書いていきたいと思います。
前回は贈与者と受贈者の要件についてお話ししましたが、今回は贈与を受けた資金で新築・取得・増改築等をする住宅用家屋の具体的な要件について見ていきましょう。

まず新築・取得(中古を含む)・増改築等に共通する要件は、以下の通りです。なお、新築等する住宅用家屋の敷地の用に供される土地や借地権の取得についても併せて適用を受けることができます。

①日本国内の住宅に係るものであること。したがって、海外の住宅を新築等しても非課税の適用は受けられませんので注意してください。

②登記簿上の床面積(増改築の場合は増改築後の床面積)が50㎡以上240㎡以下であり、かつ、床面積の2分の1以上が受贈者の居住用であること。したがって、半分以上が居住用であれば店舗や事務所併設住宅であっても適用が受けられるということになります。

③受贈者が居住の用に供する家屋が2つ以上ある場合は、その受贈者が主として居住の用に供すると認められるものであること。したがって、いわゆるセカンドハウスは基本的に適用は受けられないということになります。

④受贈者の配偶者・直系血族・生計同一親族・内縁の妻(夫)とその生計同一親族・受贈者からの金銭によって生計を維持している者(いわゆる愛人等)及びその生計親族といった、受贈者と特別の関係にある者との請負・売買契約による新築等ではないこと。

つまり、いわゆる身内同士の取引ではなく、原則として他人との取引による新築等であるということです。ただし身内であっても生計が別である傍系血族や姻族(兄弟姉妹・叔父・叔母・甥・姪・配偶者の親など)との取引であれば基本的に適用が受けられますので、もし建設会社や不動産会社を経営している身内との取引を考えているのであれば、この要件に引っかからないかどうかを慎重に検討する必要があります。

次に新築固有の要件ですが、原則として贈与を受けた年の翌年3月15日までに完成している必要があります。ただし、完全に出来上がっていなくても屋根やその骨組みを有している、いわゆる棟上げの状態になっていて、完成後遅滞なく(少なくとも贈与年の翌年12月31日までに)入居すれば適用を受けることができます。後で税務署と揉めないように写真等で記録を残しておくと良いでしょう。

建売住宅や分譲マンションなど、新築物件を取得することもあるかと思います。この場合は新築とは違って贈与年の翌年3月15日までに完成して引渡しを受けている必要があります。この点は請負契約に基づくいわゆる注文住宅の新築の場合とは異なりますので、十分注意してください。なお、引渡しを受けてすぐに入居できない場合はその旨の事情を必ず記録に残しておいてください。

中古住宅の取得の場合も贈与年の翌年3月15日までに引渡しを受けていなければなりませんが、中古の場合はそれ以外にも要件があります。具体的には以下のいずれかの要件を満たしている住宅用家屋でなければなりません。

① 耐火建築物(鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造)の場合は築25年以内、それ以外は築20年以内であること。

② ①以外の中古住宅で、耐震基準適合証明書(取得の日前2年以内に調査が終了したもの)もしくは建設住宅性能評価書(取得の日前2年以内に評価されたもの)の写しまたは既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約(取得の日前2年以内に締結されたもの)を証する書類により耐震基準を満たすことが証明されたものであること。

③ ①②以外の中古住宅で、建築物の耐震改修の計画の認定申請書もしくは耐震基準適合証明申請書または建設住宅性能評価申請書もしくは既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約の申込書により取得の日までに申請・申込がなされ、かつ、贈与年の翌年3月15日までに②に掲げた証明書等により耐震基準を満たすことが証明されたものであること。

最後に増改築等固有の要件は以下の通りとなっています。

①増改築等の工事に要した費用の額が100万円以上であり、かつ、店舗・事務所併設住宅の場合はそのうちの2分の1以上が居住用部分に充てられていること。

②原則として贈与を受けた年の翌年3月15日までに増改築が終了していること。もし終了していない場合は、増改築部分の屋根やその骨組みを有しており、かつ、既存の住宅と一体となって土地に定着した建造物であると認められる状態になっていること。後者の場合は完成後遅滞なく(少なくとも贈与年の翌年12月31日までに)入居すれば適用を受けることができますが、新築の場合と同様、後で税務署と揉めないように写真等で記録を残しておくようにしてください。

③確認済証の写し・検査済証の写し・増改築等工事証明書・リフォーム工事瑕疵担保責任保険契約が締結されていることを証する書類により、一定の基準を満たす増改築等であることが証明されたものであること。具体的には耐震改修や省エネ改修、バリアフリー改修工事等で一定の基準を満たすものが対象になります。

ここまで住宅用家屋の要件についてお話ししてきましたが、長くなりましたので今日はここまでといたします。
次回は非課税限度額や非課税の適用を受けるための手続きについてお話しする予定です。次回もお楽しみに。

それでは今週はこの辺で。
また来週お目にかかります。