ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

今週も先週に引き続いて固定資産税がテーマです。
過去何年か分の納税通知書をご覧になった方の中には、もしかするとこのような疑問を持たれた方もいらっしゃるかもしれません。
「あれっ?昨年(平成26年度)と一昨年(平成25年度)は固定資産税の改定年度じゃないはずなのに、平成24年度と比べて税額が変わっているな。これは何でだろう??」

確かに固定資産税は原則として3年に1回の改定ですから、前回は平成24年度に改定され、平成25・26年度は据え置きになっているはずですよね。
ところが中には土地の固定資産税額が毎年変わっている方もいらっしゃるかもしれません。

これは土地については負担調整措置というものがあるからなんです。
負担調整措置はとても複雑なので詳しい中味については割愛しますが、負担調整措置は固定資産税の歴史と深い関係があります。

前回、土地に関する固定資産税の価格(評価額)は地価公示価格のおよそ7割程度に設定されるというお話しをしましたが、この仕組みになったのは平成6年度からです。
それまでは市町村によってバラバラだったのですが、現在に比べると固定資産税額はかなり低く抑えられていました。

それが平成6年度の現行制度の導入により固定資産税額は大幅に増え、数倍になるケースも出てきました。これをいきなり上げるのはあまりにも負担が重すぎるということで、経過措置を設けて徐々に上げることに
しました。この経過措置を負担調整措置といいます。
そして一定の要件を満たした場合は改定年度以外の年度でも土地の固定資産税額を改定し、本来あるべき水準に近づけているというわけです。

納税通知書をご覧になってもう一つ気づかれた方もいらっしゃるかもしれません。
固定資産税と一緒に都市計画税も納めている方も多いかと思います。

都市計画税は何かといいますと、市街化区域内に土地・建物を所有している場合に原則として課税されるもので、基本的な考え方は固定資産税と一緒です。
標準税率は0.3%ですから、固定資産税と両方課税されている場合の標準税率は1.7%ということになります。

固定資産税と都市計画税の大きな違いは、固定資産税は全ての市町村で課税されますが、都市計画税は原則として都市計画で市街化区域を設けている市町村だけだということです。
ただ、市街化区域を設けている市町村でも都市計画税を課税していないところもあるようです。

固定資産税・都市計画税以外にも固定資産税の価格(評価額)を基に税額計算をする税金があります。
不動産登記の際に納める登録免許税、不動産取得の際に納める不動産取得税、土地(倍率地域)・建物の相続・贈与の際に納める相続税・贈与税がそれに当たります。
このように固定資産税の価格(評価額)の改定は多方面に影響があることがおわかり頂けるかと思います。

前回お話ししましたように固定資産税は賦課課税方式で、市町村で固定資産税の価格(評価額)を決定して税額計算をしています。
ではその計算に疑義がある時、平たく言うと「うちは固定資産税が高すぎるんじゃないか?」という時はどうすれば良いのでしょうか。

まずは市町村の税務課等の窓口で個別に問い合わせるということになりますが、今時期は固定資産税の縦覧が実施されていますので、その縦覧制度についてご紹介しておきます。
縦覧制度というのは、自分の土地・建物だけでなく近隣の他人の土地・建物の固定資産税の価格(評価額)等を閲覧できるというものです。
個人情報保護のため所有者等はわかりませんが、同一市町村内の土地・建物であれば自分の土地・建物の固定資産税の価格(評価額)と比較することが可能です。

縦覧はいつでもできるわけではなく、毎年4月1日から4月20日又は最初の納期限のいずれか遅い日までとなっています。
市町村によっては今年度はもう終わっているところもありますが、最初の納期限が5月以降に設定されている市町村も多いですから、納税通知書等で納期限をご確認の上、一度市町村で縦覧してみることをおすすめします。

あともう一つ、固定資産税に関する最新トピックをお知らせしておきます。
この5月から空き家対策特別措置法が施行されます。
これは相続等の後、放置されたままになっている空き家が年々増加していて、倒壊の危険等もあるなど社会問題になってきていることから、その対策として成立した法律です。

市町村はこの法律に基づいて危険等がある空き家を特定空き家に指定して、所有者に除去・修繕等の必要な対策を講じるよう命じることができるようになります。
特定空き家に指定された場合は、固定資産税の住宅用地等の特例の対象外となり、土地の固定資産税が3~6倍程度に増加することになります。
空き家を所有している方は、リフォームして売却するなり賃貸するなりといった対策を早急に講じることをお勧めします。

それでは今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週はこの辺で。また来週お目にかかります。