ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

毎度プロ野球の話題で申し訳ありませんが(笑)、先日巨人から日本ハムに移籍した矢野選手が早速の大活躍でDeNAとの3連戦では2度もお立ち台に上がりましたね。
私は税理士の他に社会保険労務士の仕事もしていて、そちらの専門は人事評価制度の構築や就業規則の作成なのですが、人材を活用することの大切さと難しさを日々実感しているので、矢野選手は本当に良かったなぁと思いますし、移籍してすぐに起用した栗山監督も凄いなぁと思いました。

そして生え抜きで人気もあった矢野選手をトレードに出した巨人の英断にも敬意を表したいと思います。矢野選手は将来は指導者として巨人に戻るかもしれませんが、今回の移籍で他球団でプレーした経験はその時きっと活きると思います。でも引退するまでは日本ハムにいてね(笑)。

なでしこは2戦目のカメルーン戦にも勝って、決勝トーナメント進出を決めましたね。
後半は危なかったですが、よく終了間際の1失点で逃げ切りました。
ここからは本当の勝負ですが、骨折で出られない安藤梢選手の分も頑張ってもらいたいです!

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エキサイトして前置きが長くなってしまいましたが(笑)、今日の本題に入りましょう。
前回は贈与税が基本的には減税になることをご説明し、相続税増税の対策としてはますます生前贈与が重要になることをお話ししました。
今回はその続きで、では賢く生前贈与を行うにはどのような方法があるのか、そして贈与を行う上での注意点などもお話ししていきたいと思います。

まず生前贈与を上手に行うコツは、毎年小まめに、そしてできるだけ多くの人に分散して贈与するということです。
これはどういうことかと言うと、贈与税が超過累進税率であることと深い関係があります。

ひとつ例を出してご説明しましょう。
おじいさんがお孫さん(20歳以上)に総額1,500万円を贈与したとします。
一年でいっぺんに贈与すれば贈与税額は、先週ご紹介した速算表に当てはめると(1,500万円-110万円)×40%-190万円=366万円となります。
結構な金額の贈与税を払わなくてはなりませんね。

それではこれを5年に分けて、毎年300万円ずつ贈与すればどうなるでしょうか。
贈与税額は(300万円-110万円)×10%×5年間=95万円となります。
5年に分けただけで随分贈与税が安くなりました。

上記の例はお孫さんが一人の場合ですが、それではお孫さんが3人いたらどうなるでしょうか。
1年で3人に500万ずつ贈与しても贈与税額は{(500万円-110万円)×15%-10万円}×3人=145万5千円となり、ひとりの場合の366万円に比べるとかなり下がりましたね。
さらに5年に分けて3人に贈与すれば、1年に一人当たり100万円ずつとなりますから、基礎控除の110万円の範囲内に収まります。すなわち贈与税額はゼロとなります。

このように贈与税を節税するにはできるだけ分散して贈与するのが賢いやり方です。
ですから、計画的に行うことが大事なんですね。全然難しくないですよね。
住宅購入資金や教育資金、結婚・子育て資金の非課税制度も組み合わせれば相当な相続税の節税になります。
なお、これらの非課税制度については説明すると長くなりますので、また後日改めてご紹介いたします。

このように生前贈与は相続対策の基本中の基本なわけですが、注意しなければならない点もあります。
贈与というのはあげる側ともらう側の意思が合致して初めて成立します。
つまり、もらう側の承諾が必要なんですね。

よくあるのが、おじいちゃん(又はおばあちゃん)が可愛い孫のために孫の名義の預金通帳を作ってせっせと預金している場合ですが、これは要注意です。
当のお孫さんがそのことを知らなければ贈与にはなりませんから、その預金はお孫さんのものではなく、そのおじいちゃん(又はおばあちゃん)のものとなります。
これを名義預金と言います。名義預金についてはとても奥が深いので、後日また改めてご説明しますが、今日ご理解して頂きたいのは、名義預金の場合は相続が起こった時は相続財産として相続税が課せられてしまうということです。

もし仮にお孫さんがそのことを知っていたとしても、通帳も印鑑等もおじいちゃん(又はおばあちゃん)が保管していれば、やはり贈与は成立しません。
贈与した以上は、そのお孫さんが通帳や印鑑等を管理していて、自由に引き出せるようになっていなければなりません。

したがって、贈与する場合はたとえ親族間であっても贈与契約書を作成して、もらう側が承諾したことを証明できるようにしておくとともに、通帳や印鑑等も渡すなど贈与の実態を伴った形にしておかなければなりません。
あげる側からすると浪費するのではないかと心配になりますが、贈与が成立しないことには相続対策になりませんからね。
そういった意味でもいっぺんに巨額の贈与をするのではなく、毎年こまめに贈与する方が好ましいと言えますね。

贈与契約書は贈与するたびに作成しなければなりませんから、とても面倒ではありますが、後で巨額の税金が降りかかってくることを考えれば、それくらいの手間を惜しむべきではありません。

それでは今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週はこの辺で。また来週お目にかかります。