ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

ブログの更新が3か月ぶりとなってしまい大変申し訳ありません。今週からブログを再開したいと思います。またよろしくお願いいたします。今回は先日国税庁及び各国税局・国税事務所から発表された平成27年分の相続税の申告状況について見ていきたいと思います。皆さんご承知の通り平成27年からは基礎控除が引き下げとなりましたので、平成26年までとは相続税の申告状況が大きく変わっています。それでは早速中身を見ていきましょう。

まず国税庁から発表された全国ベースの数字から見ていきます。相続税の課税割合は前年の4.4%から8.0%へとほぼ倍増しました。つまり100人お亡くなりになると、そのうち8人は相続人が相続税の申告納付をしなければならないくらいの遺産を残したことになります。それでもまだたったの8%かという考え方もできなくはないですが、やはり人数が倍近くに増えた影響は殊更大きいように思います。もう少し細かく見ていきましょう。

課税価格は被相続人一人当たり1億4,126万円で、前年(平成26年)の2億407万円に比べて約7割になりました。課税価格の説明をきちんとすると長くなるのですが、ここではだいたい遺産総額だと思ってください。この数字からわかることは基礎控除が下がって今まで相続税が課税されていなかった方々にも相続税が課税されるようになり、その結果課税価格の平均が押し下げられたということですね。基礎控除が6割になったことを考えると頷ける数字になっているかと思います。

上記のデータから新しく課税対象となった被相続人一人当たりの課税価格はだいたい7,000万円から8,000万円程度と推察されます。つまり富裕層や資産家と呼ばれる人ではなくても、ちょっとした老後の蓄え等を残したら相続税が課税される時代になったということですね。なお、相続税額は被相続人一人当たり1,758万円で、前年(平成26年)の2,473万円に比べてこちらも約7割になりました。

相続財産の金額構成比を見ると、土地が41.5%から38.0%に下がり、現金・預貯金等は逆に26.6%から30.7%に上昇しました。ここからも今までは地主など不動産を多く保有する資産家中心に相続税が課税されていたのに対して、平成27年からは老後に備えて預貯金等の蓄えを残した方に対しても相続税が課税されているケースが増えていることが伺えます。

次に札幌国税局から発表された北海道ベースの数字を見ていきましょう。相続税の課税割合は前年の2.0%から4.0%へと倍増しました。全国平均の半分ではありますが、北海道でも基礎控除引き下げの影響は全国ベース以上に大きいことがわかります。課税価格は被相続人一人当たり1億2,683万円で、前年(平成26年)の1億8,848万円に比べて約3分の2になりました。新しく課税対象となった被相続人一人当たりの課税価格はだいたい6,000万円程度だと思われます。

なお相続税額は被相続人一人当たり1,383万円で、前年(平成26年)の2,072万円に比べてこちらも約3分の2になりました。傾向としてはこちらも全国ベースとほぼ同様になっています。

相続財産の金額構成比は、土地が23.7%から20.7%に下がり、現金・預貯金等は38.6%から44.4%に上昇しました。北海道は地価が安いのでもともと土地の比率が低いのですが、その差がますます広がりついに倍以上の差がつきました。土地より現金・預貯金等の比率の方が高い地域はほかにもあるのですが、ここまで差が大きいのは北海道の特徴と言えます。

したがって北海道の相続税申告では土地の評価ももちろん大事ですが、最近税務調査が厳しくなっている名義預金や生前贈与加算など金融資産の評価・計上も重要なポイントになると言えます。

全国に国税局・国税事務所は全部で12(札幌・仙台・関東信越・東京・金沢・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・熊本・沖縄)ありますが、札幌国税局以外でも各国税局・国税事務所でそれぞれの管轄地域の平成27年分相続税申告状況が発表されています。

このブログを書いている時点では仙台と金沢がまだ発表されていませんが、それ以外は発表になっていますので興味のある方は国税庁のホームページ(https://www.nta.go.jp/index.htm)をご覧になってください。全国ベースの数字は左上の「新着情報」から、各国税局・国税事務所の数字は左下の「国税局・税務署を調べる」で見たい国税局・国税事務所をクリックして、右上の「新着情報」から見ることができます。

平成27年分の相続税の申告状況については以上になります。もう年末になってしまいましたが、年内にもう1回ブログを更新したいと考えています。年末年始の休みを挟んで来年からはまた定期的に当ブログを更新するつもりです。この間お休みをしていた間に書きたいことは山ほど溜まっていますので、時間をやり繰りして更新の頻度を増やしていきたいと思っています。これからも引き続きご愛読よろしくお願いいたします。

それでは今週はこの辺で。
また来週お目にかかります。