ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

サッカーワールドカップでは熱い戦いが続いていますね。グループリーグが終わり、いよいよノックアウト方式の決勝トーナメントが始まります。前回優勝国で過去16大会連続ベスト8以上に入っていたドイツがグループリーグ最下位で敗退するという大番狂わせもありましたが、それを除けば全体的には順当な勝ち上がりになったように思います。そんな中で日本代表はアジア勢唯一の決勝トーナメント進出となりました。大健闘と言って良いですね。次は優勝候補の一角であるベルギーとの試合です。厳しい戦いが予想されますが、引き続き応援したいと思います。頑張れ、サムライブルー!

それでは本題に入って参りましょう。今回は小規模宅地等の特例のうち、特定居住用宅地等についてお話ししていきたいと思います。特定居住用宅地等に該当すると、330㎡までは課税価格が80%の減額になります。例えば330㎡で相続税評価額が2,000万円の場合であれば、1,600万円もの減額となり、課税価格は400万円まで下がります。適用税率が最低の10%だとしても160万円の節税になり、一番多い適用税率だと思われる15~30%であれば240万円から480万円もの節税になるわけです。非常に重要な特例であることがお分かり頂けるのではないかと思います。適用要件をしっかりと確認し、適用漏れがないように十分注意しなければなりません。

もう少し詳しく見ていきましょう。

特定居住用宅地等とは、

①被相続人等(被相続人又は当該被相続人の生計同一親族)の居住の用に供されていた宅地等で、

②当該被相続人の配偶者又は配偶者以外の一定の親族が、


③相続又は遺贈により取得したもの

をいいます。

それでは順番に見ていきましょう。

①は、要は被相続人等の自宅の敷地であったということです。

②の配偶者以外の一定の親族とは、具体的には次の3つのケースがあります。後で詳しく解説します。

イ 被相続人の同居親族で一定の要件を満たす者

ロ 被相続人の非同居親族で一定の要件を満たす者(いわゆる「家なき子」)

ハ 被相続人の生計同一親族で一定の要件を満たす者

③では「相続又は遺贈により」となっていますので、生前贈与は適用不可(相続時精算課税であっても不可)であることに注意します。ただし死因贈与は相続税法上は遺贈と同様の取り扱いになりますから、死因贈与であれば適用可能です。

②について更に詳しく見ていきます。配偶者が取得者である場合は、無条件で特定居住用宅地等に該当しますが、配偶者以外の一定の親族が取得者である場合には要件があります。説明の都合で、イ→ハ→ロの順番で解説します。

イ 被相続人の同居親族で一定の要件を満たす者
相続開始時から相続税の申告期限まで居住を継続し(居住継続要件)、かつ宅地等の保有も継続していること(保有継続要件)。

ハ 被相続人の生計同一親族で一定の要件を満たす者
=相続開始直前から相続税の申告期限まで居住を継続し(居住継続要件)、かつ相続開始時から相続税の申告期限まで宅地等の保有も継続していること(保有継続要件)。

イとハはいずれも取得者が居住継続要件と保有継続要件の両方を満たして初めて適用可能になります。したがって申告期限までに引っ越しをしたり、宅地等を売却等してしまうと適用が受けられなくなってしまいますので、十分な注意が必要です。

ロ 被相続人の非同居親族で一定の要件を満たす者(いわゆる「家なき子」)
「家なき子」については、要件が複雑なうえ、平成30年度で税制改正も行われています(下線部、原則として平成30年4月1日以後の相続・遺贈から適用)。なお「家なき子」と呼ばれているのは、取得者等に持ち家(マイホーム)がなく、いわゆる借家住まいであることが想定されているからです。この場合、特定居住用宅地等に該当するための主な要件は以下の通りです。

(1)被相続人に配偶者がおらず、相続開始直前において同居親族(法定相続人に限る。)等もいなかったこと。
→基本的に被相続人が独居老人等であったことが想定されますが、法定相続人ではない親族(代襲相続人や養子ではない孫・甥・姪など)等と同居していた場合は、この要件を満たします。

(2)相続開始前3年以内に、取得者・取得者の配偶者・取得者の3親等内の親族・取得者等と特別の関係がある一定の法人(同族会社等)が所有する家屋に居住したことがないこと。ただし、相続開始の直前において被相続人がその家屋に居住していた場合を除きます。

(3)相続開始時において取得者が居住していた家屋を過去に所有していたことがないこと。

(4)相続開始時から相続税の申告期限まで宅地等の保有を継続していること(保有継続要件)。
→「家なき子」は非同居親族であるため、居住継続要件はありません。

少し長くなりましたので、今回はここまでといたします。次回も特定居住用宅地等について引き続き解説していきます。次回もぜひご覧ください。

それでは今週はこの辺で。
また再来週お目にかかります