ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

早いもので今日で1月も終わりですね。最近は路面がツルツルで危ないので、先日靴に滑り止めを装着しました。初めて滑り止めを付けてみたのですが、これは良いですね。凍結した路面でもサクサク歩けます。歩く時の感触や音も思ったほど気になりません。転んでケガでもしたら大変ですので、皆さんにもお勧めです。最近はコンビニなんかで売っていますよね。以前は道外から出張で来られた方などが空港で購入し装着するという話を聞きましたが、これからは北海道民にも必須のアイテムになるような気がしました。

さて本題に入って参りましょう。早いもので今回は平成29年度税制改正大綱についての第4回目となります。今週は非上場株式等の評価の見直しについてです。これまでの3回はタワーマンション課税の見直し、広大地評価の見直し、納税義務の見直しといずれも納税者にとって厳しくなる方向での改正でしたが、今回はどちらかと言うと納税者にとって有利になり得る改正です。それでは詳しく見ていきたいと思います。

非上場株式等ですから、具体的には上場されていない中小企業の株式等と考えてください。皆さんが中小企業の経営者であれば自分の会社の株式等は保有されていると思いますし、ご家族や友人・取引先等として中小企業等の株主等になっているケースもあるかと思います。なお、非上場株式「等」となっているのは、株式会社や特例有限会社であれば株式ですが、合同会社や合資会社・合名会社であれば株式ではなく持分になるからです。合同会社・合資会社・合名会社を併せて持分会社と言いますが、相続税・贈与税の財産評価においては株式も持分も考え方は一緒です。

そして非上場株式等の評価方法は大きく分けて3つありますが、そのうち配当還元方式については配当目的等で株式等を保有する少数株主等に適用される方式で、評価額も低く相続税や贈与税のことで頭を悩ませるということは少ないかと思います。それに対して経営者やそのご家族が自分の会社の経営権等を確保するために保有する株式等(ここからは「自社株」と呼びます。)は、原則として会社の規模に応じて類似業種比準方式または純資産価額方式あるいはその併用方式で評価され、その評価額は非常に高くなることが多いです。

さすがに事業承継への関心が高まっている最近では、自社株の評価額が発行価額や資本金等の額だと思っている経営者は少なくなってきましたが、しっかりと自社株の現時点での評価額を試算している経営者の方もまだまだ少ないように思います。「うちなんて大した会社じゃないから・・・」などと謙遜される経営者の方もいらっしゃいますが、長年コツコツと経営されてきた会社であれば会社の資産もそれ相応にありますし、業績面でも着実に利益を出しているケースが多いですから、実際に試算してみると億の評価額になることも珍しくありません。

「えっ、うちの会社がそんなに価値があるのっ!!・・・」と驚かれることも多いのですが、それだけのことを人生を賭けてされてきたということですから、そのこと自体は素晴らしいことだと思いますし、私も事務所を経営する立場としてそういう方々を心から尊敬します。ただ事業承継という面では相続税・贈与税の負担がとても重くなり、それがスムーズな事業承継を妨げるネックになっているというのも事実です。自社株は換金できるわけでもありませんし、納税資金の準備といった点でも非常に悩ましいことになります。

このように事業承継における自社株の承継(相続・遺贈・贈与)は今や社会問題と言っても過言ではないかと思います。これまでも納税猶予制度の創設・改正などといった手が打たれてきましたが、今年度の税制改正ではついに評価そのものの見直しに着手することになりました。このような背景がありますので、少しでも自社株の承継に係る相続税・贈与税の負担を軽くしようというのが今回の改正の趣旨になります。したがって、冒頭申し上げましたように、納税者にとって基本的には有利な改正というわけです。

それでは具体的にどのように改正されるかということですが、先ほど申し上げた類似業種比準方式と純資産価額方式の2つの評価方法のうち、今回は類似業種比準方式の改正となります。とは言っても類似業種比準方式の内容を知らないという方も多いでしょうから、まずは現行の類似業種比準方式の内容についてご説明して、その後改正点について述べるという順番で書いていきたいと思いますが、長くなりましたので続きは次回にしたいと思います。大変申し訳ありません。前置きが少し長かったですね。ただ、内容に入る前に今回の改正の背景と趣旨を皆さんにしっかり理解してもらいたかったので、どうかお許しください。

それでは今週はこの辺で。
また来週お目にかかります。