ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

先週末から今週の初めは暑かったですね。5月26日(日)には佐呂間町で最高気温39.5度を記録し、これは5月の国内最高記録であり、北海道の通年の最高記録でもあるそうです。札幌も5月26日(日)に31.1度と81年ぶりに札幌の5月過去最高記録に並び、5月27日(月)は32.0度、5月28日(火)は34.2度と2日連続で札幌の5月過去最高記録を更新しました。これは異常気象といっても良いですね。皆さんも体調管理には十分お気をつけください。

それでは本題に入って参りましょう。今回は特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例の見直しについてです。小規模宅地等の特例については昨年も特定居住用宅地等及び貸付事業用宅地等について見直しがあり、当ブログでも連載したところですが、今年は特定事業用宅地等について貸付事業用宅地等と同様の見直しがありました。

具体的には、相続開始前3年以内に新たに事業の用に供された宅地等は原則として特定事業用宅地等に該当しないこととなりました。ただし例外的にその宅地等の上で事業の用に供されている建物などの減価償却資産の価額が、当該宅地等の相続時の価額の15%以上である場合は、特定事業用宅地等に該当します。

これは貸付事業用宅地等の改正と同様、駆け込み的な相続対策による行き過ぎた節税を防止する趣旨だと考えられます。ただし、貸付事業用宅地等とは違って、建物等の価額が宅地等の価額の15%以上であれば従来通り特定事業用宅地等として小規模宅地等の特例の適用が受けられます。建物等の価額が宅地等の価額の15%以上であれば節税目的ではないと判断されるということです。

アパートやマンションを建てて部屋を貸し付けるのは貸付事業になりますから、今年の改正は小売店や飲食店、工場など貸付事業以外の事業を行う場合に関係してきます。貸付事業を始めるのに比べると相続対策のハードルは高い気がしますが、実際にそういった事例があるということなんでしょうね。

いずれにしましても、特定事業用宅地等は400㎡まで80%課税価格が減額され、200㎡まで50%の課税価格減額となる貸付事業用宅地等に比べても相続税額に与える影響はより大きいですから、慎重な対応が必要になります。

なお、この改正は平成31年4月1日以後の相続(遺贈)から適用になります。
また、経過措置として平成31年3月31日までに事業供用された宅地等については、相続開始前3年以内に新たに事業の用に供された宅地等であっても従来通り特定事業用宅地等に該当します。

それから今回の税制改正では時限立法として個人版事業承継税制が創設されましたが、その適用を受ける場合は事業供用が相続開始前3年以内であるか否かにかかわらず、特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例の適用を受けることはできませんので、ご注意ください。

特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例の見直しについては以上になります。次回も税制改正について詳報しますのでまたぜひご覧ください。

それでは今週はこの辺で。
また再来週お目にかかります。