ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

9月20日からラグビーワールドカップ2019日本大会がいよいよ始まりますね。日本代表は前回大会では勝点の差で惜しくも決勝トーナメント進出はなりませんでしたが、南アフリカ代表”スプリングボクス”を撃破するというラグビー史上最大のジャイアントキリングを成し遂げるなど3勝1敗の好成績を挙げました。1995年南アフリカ大会ではニュージーランド代表”オールブラックス”に17対145で敗れるなど、ワールドカップではそれまで通算1勝21敗2分と世界の強豪に全く歯が立たなかったことを考えると隔世の感があります。今回同組にはまだ公式戦で一度も勝ったことがないアイルランド代表とスコットランド代表が入っていて簡単なプールではありませんが、地元開催ですのでぜひ初の決勝トーナメント進出を果たしてもらいたいと思います。頑張れ”ブレイブ・ブロッサムズ”!

それでは本題に入って参ります。今回は成年年齢の20歳から18歳への引き下げについてです。3年前に一足早く選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられましたが、今回の民法改正で成年年齢も20歳から18歳に引き下げられることになりました。令和4年4月1日からは18歳で成人ということになります。ただ全てのものが20歳から18歳に引き下げられるわけではなく、例えば飲酒や喫煙などは引き続き20歳未満は禁止されるようです。この民法改正に伴い税制でも年齢要件が見直しになるものがあります。そのうち主なものをそれぞれ順番に見ていきましょう。

1.相続税の未成年者控除
相続開始時において未成年の法定相続人については、原則として成年に達するまでの年数×10万円の控除が受けられるという制度です。現在は成年は20歳ですから例えば12歳の法定相続人の場合だと、(20-12)×10万円=80万円の控除が受けられることになります。令和4年4月1日以後の相続・遺贈については、成年が18歳に引き下げられますから、上記の場合だと(18-12)×10万円=60万円の控除となります。また、現在は18歳や19歳でも未成年者控除が受けられますが、改正後は未成年者ではなくなりますから控除も受けられなくなります。

2.相続時精算課税制度(贈与税・相続税)
贈与年の1月1日において60歳以上である贈与者が、その直系卑属である推定相続人(子や代襲相続人である孫など。)又は代襲相続人ではない孫を受贈者として贈与を行った場合において、受贈者が一定の手続を行ったときに暦年課税に代わって選択できる制度です(詳しい内容は下記リンクを参照してください)現在受贈者は受贈年の1月1日において20歳以上でなければなりませんが、令和4年4月1日以後の贈与については18歳以上に引き下げられることとなります。

生前贈与は相続対策の王道ですPART3(相続時精算課税制度の活用とその注意点について 平成27年6月25日執筆分)

生前贈与は相続対策の王道ですPART4(前回に続いて相続時精算課税制度の活用とその注意点について 平成27年6月30日執筆分)

3.直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例(暦年課税)
一定の受贈者がその直系尊属(親や祖父母など。)から贈与を受けた場合には、一般税率よりも優遇された税率(特例税率)が適用される制度です(詳しい内容は下記リンクを参照してください)現在受贈者は受贈年の1月1日において20歳以上でなければなりませんが、令和4年4月1日以後の贈与については18歳以上に引き下げられることとなります。

生前贈与は相続対策の王道です(贈与税の改正について 平成27年6月12日執筆分)


なお、年齢要件のある制度は他にも直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度(受贈者が受贈年の1月1日現在で20歳以上。)や直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度(受贈者が受贈時点で20歳以上50歳未満。)などがありますが、いずれも令和4年4月1日より前に期限が到来する時限立法ですので、現時点では見直しは入っていません。将来制度が延長された場合は年齢要件が見直される可能性もありますので、引き続き注視していく必要がありますね。

成年年齢の引き下げについては以上です。次回も引き続き改正民法と、それに関連する税制改正になりますので、またぜひご覧ください。

それでは今週はこの辺で。
また再来週お目にかかります。