ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

プロ野球も広島とソフトバンクのリーグ優勝が目前に迫るなどいよいよ佳境に差し掛かってきましたが、そんな中、阪神の掛布二軍監督の退任が発表されました。私は子供の頃から掛布選手の大ファンで、再び阪神の背番号31のユニフォームを着ることになったときは本当に嬉しかったので、退任はとても残念です。ただ、最近の阪神の若手選手の活躍を見ると、掛布監督の指導が実を結びつつあるような感じがしています。またどこか別の球団でも良いので、今度は一軍の監督をして欲しいと思います。掛布監督、本当にお疲れ様でした。

それでは本題に入って参りましょう。前回は広大地の評価額についてお話しをいたしました。広大地に該当すると土地の評価額が大きく下がることがお判り頂けたのではないかと思います。それではそもそも広大地に該当するためにはどのような要件を満たさなくてはならないのでしょうか。今回は判定が非常に難しい広大地の要件について詳しくご説明していきたいと思います。

広大地の要件は大きく分けて次の4つになります。つまり、次の4要件を全て満たして初めて広大地に該当するということになります。

1.大規模工場用地に該当しないこと。
2.マンション適地等に該当しないこと。
3.その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大であること。
4.開発行為を行うとした場合に、公共公益的施設用地の負担が必要である(=開発道路等による潰れ地が生じる)と認められること。

このように書くとシンプルなように見えますが、具体的に判定していく際には綿密な調査が必要になり、非常に困難なケースも数多くあります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1.大規模工場用地に該当しないこと。
この要件はそれほど難しくありません。具体的には次の3つの要件をどれか満たせば、大規模工場用地には該当しないものと判定されます。

①50,000㎡以上の工場用地ではないこと(路線価地域においては、大工場地区に所在する土地に限る)。
②都市計画法上の工業専用地域に所在する土地ではないこと。
③工場用地に最も相応しい土地ではないこと
(交通が不便、道が狭い、工場が集積していないなど)

③がやや曖昧ですが、工業団地や工業適地等に該当せず、自治体などが工場の誘致をしているような土地でなければ、概ね大規模工場用地には該当しないものと考えられます。

2.マンション適地等に該当しないこと。
ここから段々難しくなってきます。ここで少し前回のおさらいをしましょう。広大地評価がなぜ存在するかというと、戸建住宅の開発の際に開発道路を新設する必要がある場合は、それにより潰れ地が生じるため土地の経済的価値がその分下がることなどから、そういった不動産取引の実情を相続税等の評価額にも反映させるということでした。つまり、広大地に該当するためには戸建住宅の開発というのがまずは大前提になります。なお、開発コストの増大など土地の経済的価値を低下させる要因は他にもあるのですが、ここでは話をわかりやすくするために潰れ地を例にとってご説明しています。

もし評価対象の土地が戸建住宅よりもマンションなどの開発の方に適しているのであれば、1棟建築するのには広い敷地を必要としますし、駐車場や公開空地・歩道状空地などのスペースも併せて確保することになります。したがって、開発道路をわざわざ新設する必要性が非常に低くなり潰れ地が生じないなど、土地の地積が大きいことによる経済的価値の低下がありませんので、広大地には該当しないことになるわけです。

以上をまとめますと、広大地に該当するためにはその土地の最有効使用が戸建住宅であることが必要になります。最有効使用というのは不動産鑑定上の用語ですが、要はその土地の経済的に最も有利な利用方法ということです。つまりマンションの方が向いている土地なのか、それとも戸建住宅の方が向いている土地なのかということですね。容積率が300%以上であれば原則としてマンション適地等に該当し、逆に200%以下であれば原則としてマンション適地等に該当しないという一応の目安もありますが、絶対的な基準ではないので要注意です。

もちろんマンション以外にも、幹線道路沿いの土地で大型商業施設などが最有効使用ということであれば、こちらも当然潰れ地は生じないなど土地の地積が大きいことによる経済的価値の低下はありませんから、広大地には該当しません。あくまでも最有効使用が戸建住宅であることが広大地に該当するための必須条件になります。

最有効使用が戸建住宅であるか否かの判定は、まず容積率が何%であるかの確認から始まって、様々な資料による机上調査・現地調査・役所調査等によって色々な角度から綿密に検討します。評価対象の土地が所在する場所によっては、マンション適地等であるか否かの判定が非常に悩ましい場合もありますので、不動産鑑定士などの専門家のアドバイスも仰ぎながら慎重に判断します。少々理屈っぽい話になってしまいましたが、現行の広大地評価においてはこの理屈がとても大事になりますので、詳しくご説明させていただきました。

それでは少し長くなりましたので今日はここまでにいたします。次回は現行の広大地の要件について引き続きご説明し、それ以降は来年から大幅な改正となる新広大地評価の内容と改正の背景、広大地評価の改正が相続実務に与える影響などについて順番にお話ししていく予定です。次回以降もぜひご覧ください。

それでは今週はこの辺で。
また再来週お目にかかります。