ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

早いもので3月になりました。1月行く、2月逃げる、3月去るとはよく言ったもので、税理士業務は繁忙期ということもあって月日が経つのが早く感じる今日この頃です。北海道もようやく三寒四温のサイクルに入ってきたようで、長い冬もいよいよ終わりに差し掛かり少しずつ春が近づいてきました。雛祭り・桃の節句も終わり、春が待ち遠しい今日この頃です。

それでは今日の本題に入って参りましょう。今回は前回の財産債務調書の続きになります。前回は総財産3億円以上または国外転出特例対象財産(有価証券等)1億円以上という要件についてご説明しました。それでは、その要件の判定に当たって財産価額の算出はどのようにすれば良いのでしょうか。

これは国外財産と同様、時価または見積価額に拠ることとなります。財産評価基本通達を用いることができる点も一緒です。また、共有財産や未分割の相続財産がある場合、財産を借入金で取得した場合についても国外財産と同様になります。したがいまして、詳細については前々回の当ブログを参照してください。アドレスは下記の通りです。

【確定申告特集その2】国外財産調書と財産債務調書パート2
http://souzoku-sapporo.jp/%E7%9B%B8%E7%B6%9A/%E3%80%90%E7%A2%BA%E5%AE%9A%E7%94%B3%E5%91%8A%E7%89%B9%E9%9B%86%E3%81%9D%E3%81%AE%EF%BC%92%E3%80%91%E5%9B%BD%E5%A4%96%E8%B2%A1%E7%94%A3%E8%AA%BF%E6%9B%B8%E3%81%A8%E8%B2%A1%E7%94%A3%E5%82%B5%E5%8B%99/

なお、有価証券等については取得価額も記載する必要があります。これは国外財産調書にはない記載事項です。より詳細については下記の国税庁ホームページに掲載されている「財産債務調書の提出制度 (FAQ)」もご覧になってください。

財産債務調書制度に関するお知らせ
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hotei/zaisan_saimu/index.htm

ところで財産債務調書と言うくらいですから、財産だけではなく債務も記載する必要があります。これも国外財産調書にはない記載事項です。国外財産調書には国外における財産のみを記載し、債務については記載する必要はありませんでしたが、財産債務調書には国内国外問わず全ての債務を記載する必要があります。

債務とは具体的にはその年の12月31日現在で存在が確実であると認められる借入金や連帯債務等のことを言います。借入金については元本の額を記載することになっています。連帯債務については、負担割合が決まっているときはその負担割合で按分した金額を記載します。保証債務については原則として確実な債務ではありませんから記載する必要はありませんが、債務者が債務不履行に陥っていて保証人として債務の肩代わりをすることが確実である場合には、例外的にその返済しなければならない債務の額を記載することになります。

国外債務については、その邦貨換算は対顧客直物電信売相場(TTS)により行います。ちなみに国外財産の邦貨換算はこの連載の第1回目に書きましたように、対顧客直物電信買相場(TTB)により行うこととなっています。財産と債務とでは邦貨換算に当たって用いる換算レートが異なっていますので注意してください。

それでは国外財産調書と同様、財産債務調書を出したら何か良いことがあるのでしょうか。また逆に出さなかったり、出したとしてもいい加減に記載して出した場合は何か悪いことがあるのでしょうか。この点については基本的に国外財産調書と一緒で、加算税の軽減または加重の措置がとられていますので、これについても詳細は前々回の当ブログ(上記アドレス)を参照してください。ただし、財産債務調書については懲役や罰金等の罰則はありません。

いずれにしても、将来加算税を加重するペナルティが課せられることのないよう申告漏れや記載漏れ等には十分な注意が必要です。国外財産調書と同様、将来の相続に備えた財産及び債務の棚卸しを行う良い機会であると捉えると良いでしょう。提出期限については国外財産調書と同じで、平成27年(12月31日現在)分は平成28年3月15日(火)となっています。

財産債務調書、そして今年の確定申告特集は以上になります。確定申告がまだな方はお忙しい中大変だと思いますが、1年間の血と汗と涙の結晶が確定申告の結果に集約されていると思いますので、あともう少し頑張ってください。私もこれから確定申告業務の最後の追い込みに入ります。健康に気をつけて皆で頑張りましょう。

それでは今週はこの辺で。
また来週お目にかかります。