ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

早いもので今日で9月も終わりとなり、めっきり寒くなってきましたね。
北海道は秋深まり、だんだん冬の足音がまた近づいてきました。
これからは風邪なども流行ってきますので、皆さん健康管理にはくれぐれも注意してください。

さて、今週は予告通り去る9月16日に発表された平成27年地価調査についてです。
土地の価格にはいくつかの種類があるということは以前このブログにも書きましたので、先にこちらを読んでいただけるとより理解しやすいのではないかと思います。
http://souzoku-sapporo.jp/相続税/土地の時価について(地価公示価格など)

今日は主に4種類ある公的機関が公表する地価のうち、毎年7月1日付で都道府県が調査する基準地価についてこれから書いていきます。基準地価は土地取引の指標となるもので、一番似ているのは毎年1月1日付で国土交通省が調査する公示地価です。

公示地価に比べると地方の調査が手厚いという特徴があり、例えば北海道の住宅地で見てみますと、公示地価の調査地点(標準地)数は都市部が727あるのに対して町村部は170しかありませんが、基準地価の調査地点(基準地)数は都市部が386に対して町村部は421もあります。商業地も同様の傾向です。また、住宅地・商業地・工業地に加えて宅地見込地や林地についての調査があるのも基準地価の特徴です。

それでは今年の基準地価がどのようになったのかを具体的に見ていきましょう。まず全国ベースでは、住宅地が1.0%の下落、商業地が0.5%の下落で、全用途では0.9%の下落となりました。バブル崩壊以後24年連続の下落ですが、下落幅は6年連続で縮小し、全体としてはリーマンショック以後の大幅下落には歯止めがかかりつつあります。

ただより細かく見てみますと、都市部と地方部の二極化がますます進みつつあります。三大都市圏では住宅地が0.4%の上昇、商業地が2.3%の上昇、全用途では0.9%の上昇です。特に商業地の伸びが著しくなっているのが目立ちます。その一方で地方圏(三大都市圏以外)では住宅地で1.5%の下落、商業地で1.6%の下落、全用途で1.5%の下落と、下落幅は昨年より小さくなったものの、三大都市圏とは対照的な結果となっています。

さらにその地方圏を細かく見ていきますと、札幌・仙台・広島・福岡の4つの地方中枢都市や新幹線効果に沸く金沢などの中核都市は三大都市圏を上回る上昇率となっており、特に商業地の伸びが顕著です。しかしそれ以外の地方都市や町村部は依然として下落に歯止めがあまりかからない状況が続いています。

次に北海道について見ていきましょう。北海道の住宅地は1.9%の下落、商業地は2.1%の下落、全用途(林地を除く)では2.0%の下落と、下落幅は5年連続で縮小しましたが、全国地方圏よりも下落幅は大きくなっています。下落地点は林地を除く全基準地1,088地点に対して771地点と、昨年・一昨年より減ってはいるものの、依然として7割以上の地点で下落しています。

そんな中で札幌だけは基準地価が上昇しており、住宅地で1.4%、商業地で2.6%、全用途で1.7%の上昇率となっていて、商業地を中心に伸びているのが目立ちます。札幌全体では基準地152地点に対して上昇が過半数の79地点に達しており、63地点が横ばいで、下落はわずか10地点しかありません(ただし昨年の7地点よりは増加)。住宅地・商業地ともに基準地価及び上昇率のベスト10は全て札幌が占めています。

ただ札幌の中でも中央区・西区・手稲区の住宅地、中央区・北区・豊平区の商業地などは上昇傾向が強まっているのに対して、南区や厚別区などでは横ばいないしは下落している地点が多くなっており、札幌市内でも二極化の傾向が出ています。

札幌以外の地方全体としては都市部が住宅地・商業地ともに2.0%の下落率、町村部が住宅地2.7%・商業地4.1%の下落率となっており、札幌とは対照的な結果となっています。都市部の基準地394地点に対して下落は284地点と7割強を占め、横ばいは108地点、上昇はわずか2地点しかありません。町村部は基準地542地点に対して下落は477地点と9割近くを占めており、横ばいは60地点、上昇は5地点でした。下落から横ばいに転じている地点が目立ちますが、下落傾向にあまり歯止めがかかっていない印象です。

個別に見ていきますと、外国人観光客のリゾート地として人気が高い倶知安の上昇率が高く、林地の上昇率40.0%は全国一の伸び率です。また、今や北海道の代表的な観光地となった富良野は「フラノマルシェ2」の開業効果もあって商業地が5.1%も上昇しています。

一方で昨年水産加工業協同組合が経営破綻した古平町の商業地が9.8%の下落率で全国一になっています。その他下落率が大きいところとしては、岩見沢・美唄・滝川・三笠・夕張・由仁・奈井江・浦臼・沼田といった旧産炭地を中心とする空知地方に多いのが目立ちます。

新幹線効果が期待される函館などの道南地域は引き続き緩やかな下落傾向にあり、まだ目立った変化はありません。来春の北海道新幹線開通以後の動向に引き続き注目していきたいところです。北海道の地価調査についてより詳細が知りたい方は下記の北海道のホームページを参照してください。
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stt/chika.htm

平成27年地価調査の結果については以上になります。来週からはまた贈与税の非課税制度などについてご紹介していくつもりです。次回もお楽しみに。

それでは今週はこの辺で。
また来週お目にかかります。