ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

今日が9月に入って初めての記事になります。時間的に厳しい毎日が続いていて、なかなかブログを更新することができず申し訳ありません。今回は9月20日に公表された平成28年都道府県地価調査の結果(基準地価)について詳細を見ていきたいと思います。

基準地価は毎年7月1日時点の地価を都道府県が調査したものです。3月に発表される公示地価や7月に発表される路線価はいずれも1月1日(年始)時点の価額ですから、基準地価は年央の地価を把握できるという意味で貴重なデータになります。また、公示地価が主に都市計画区域内が調査対象になるのに対して、基準地価は都市計画区域外も調査対象になるという特徴がありますから、都市部だけでなく町村部の地価の動向もよくわかります。このように公示地価と基準地価は調査時点と調査地点の両方の面で相互補完の関係にあると言って良いでしょう。

それでは今年の基準地価がどのようになったのかを詳しく見ていきましょう。まず全国ベースでは、住宅地が▲0.8%と25年連続で下落した反面、商業地は+0.005%とわずかながら9年ぶりの上昇に転じました。全用途では▲0.6%と25年連続の下落となりました。

商業地が上昇した主な要因は公示地価や路線価の時にも書きましたように、外国人観光客(インバウンド)の増加に伴う商業施設・ホテル等の不動産需要の増加が大きく寄与しています。また、マイナス金利による不動産投資の活性化も大きいですね。特に札幌・仙台・広島・福岡の4つの地方中枢都市の商業地が+6.7%と牽引しました。札幌(+7.3%)については後で北海道のところで詳しく触れたいと思いますが、三大都市圏(+2.9%)の2倍以上の上昇率になっています。

全用途で▲0.6%と下落したのは意外な結果でした。今年は公示地価・路線価いずれも8年ぶりの上昇に転じていたからです。先ほどご説明しましたように基準地価は町村部の地価の調査が手厚いので、地価の下落に歯止めがかからない地方の状況を反映した結果であるとも考えられます。その一方で三大都市圏が伸び悩んでいるという傾向も見られ、高くなりすぎた地価に対する警戒感がこの半年で高まりつつあるという見方もできますので、今後の動きを注視していきたいと思います。

次に北海道について見ていきましょう。住宅地が▲1.7%と19年連続で下落、商業地は▲1.0%で25年連続で下落、全用途では▲1.5%と25年連続の下落となりました。ただし、札幌は全道とは大きく傾向が異なっており、住宅地で+2.1%、商業地は先ほど触れましたように+7.3%、全用途で+3.7%となっています。いずれも4年連続の上昇です。特に商業地は昨年は+2.6%でしたから、大幅な上昇率になっていることがわかります。

札幌を各区別に見ますと、中央区の上昇率が著しく、住宅地で+5.4%(昨年は+4.4%)、商業地は二桁の伸びで+15.2%(昨年は+5.6%)、全用途も二桁の+11.5%(昨年は+5.1%)となっています。豊平区も伸びが目立っており、住宅地で+4.7%(昨年は1.8%)、商業地は+8.4%(昨年は+3.9%)、全用途が+5.8%(昨年は+2.5%)となっています。それ以外に目立つのは北区の商業地で、+10.5%(昨年は+5.1%)と二桁伸びています。

また、昨年札幌で唯一下落した南区の住宅地は今年は+1.0%(昨年は▲0.1%)と上昇に転じ、逆に昨年横ばいだった厚別区の住宅地が▲0.1%と下落しています。札幌の10区の中では手稲区だけが住宅地(昨年は+3.1%、今年は+2.2%)・商業地(昨年は+1.5%、今年は+1.4%)・全用途(昨年は+2.8%、今年は+2.0%)いずれも昨年より上昇率が鈍化しています。

札幌以外の中核都市では、釧路の商業地が+0.3%(昨年は▲0.3%)でなんと25年ぶりの上昇、帯広の住宅地が+0.1%(昨年は横ばい)でこちらは18年ぶりの上昇となりました。ただし調査時点(7月1日現在)では道東を中心に甚大な被害をもたらした8月の台風10号等の影響が反映されていませんので、今後の動きが心配されるところです。それ以外には今月いっぱいで営業を終了する旭川西武の閉店後の影響も気になります。函館は住宅地・商業地いずれもマイナスで、北陸新幹線の金沢のような状況にはまだなっていないようです。

それ以外の地方では、外国人観光客のリゾート地で名高い倶知安町の住宅地が+10.7%(昨年は1.8%)と二桁の伸びになっています。なかでも字樺山の住宅地は+27.3%で、これは全国一の上昇率となっています。富良野市の商業地も昨年に引き続き好調で、+6.1%(昨年は+5.1%)となっています。

一方で12月に留萌線の廃止が決まっている増毛町が全用途で▲7.9%(昨年は▲4.5%)と、下落率が拡大しています。今後北海道は鉄道の廃線が予想されますので、その影響が心配されるところです。旧産炭地では美唄市の下落が目立っており、住宅地・商業地ともに全道一の下落率(商業地は全国でも一番の下落率)の地点を抱えています。

平成28年地価調査の結果については以上になります。しばらくの間は時間的に厳しいため当ブログも不定期更新になるかと思いますが、皆さんに情報提供したいことはたくさんありますので、合間を縫って更新していきたいと思います。引き続きご愛読よろしくお願いいたします。

それでは今週はこの辺で。
また次回お目にかかります。