ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

今年の雪は凄いですね。JRやバスが何日も運休するというのはちょっと記憶にありません。もう雪かきはこりごりですが、週末はまた荒れ模様の天気だそうです。あまり酷くならないことを願います。

それでは本題に入って参りましょう。今回は相続登記に係る登録免許税の免税措置を取り上げます。大きく分けて2つの内容があり、令和4年度税制改正で延長・拡充が予定されています。下記のリンクは法務省民事局が昨年12月に公表したものですが、図解がとてもわかりやすいので併せてご覧ください。

令和4年度税制改正の大綱の概要(所有者不明土地関係)

まず一つめは、祖父Aが死亡し父Bが土地を相続したものの登記の名義は祖父Aのままになっているケースです。そして父Bが相続登記をすることなく(つまりBの名義にすることなく)、死亡してしまいBの子(Aの孫)Cがその土地を相続したとします。CはA→B及びB→Cの二つの相続登記をしなければなりませんが、そのうちA→Bの相続登記については令和4年3月末まで登録免許税が免税となっています。そして令和4年度税制改正で令和7年3月末までこの免税措置が延長される予定となっています。

二つめは市街化区域外の土地で法務大臣が指定するもののうち、不動産の価額が一筆10万円以下の土地に係る相続登記の免税措置です。これは上記の例だとA→Bはそもそも免税ですから、B→Cの名義変更の際に関係してきます。そして令和4年度改正では市街化区域の土地であっても法務大臣の指定があれば免税措置が適用できるようになりますし、不動産の価額も100万円以下へと拡充され、免税対象となる土地が格段に増えるものと想定されます。

これらの免税措置の背景としては、相続登記がされることなく死亡した人の名義のまま放置された土地が年々増加しており、東日本大震災のような災害後の復興事業においてそれらの土地が利用できないなど、円滑な復興等の妨げになっているなどといったことがあります。そこで相続登記を促進して、これ以上そのような土地を増やさないようにしているわけです。

また遺産分割協議が未了で名義変更がされていないとすれば、その土地は相続人の共有財産となるわけですが、年月が過ぎるとその相続人もお亡くなりになって2次相続が発生し、さらに相続人の数が増えていきます。いざその土地を管理・利用するために遺産分割をして名義変更をしようとしても、現在誰が相続人なのかそれを調べるのさえ容易ではないという事態も起こり得ます。ましてや会ったことも話をしたこともない者同士で合意を形成するのは至難の業ということになります。

このように相続登記を放置しておくことは社会的にも個人的にもデメリットが多いですし、令和6年4月1日からは相続登記が義務化され、違反すると10万円以下の過料に処される恐れもあります。また、令和5年4月27日からは一定の要件を満たした土地を国が引き取ってくれる相続土地国庫帰属制度も始まります。将来子孫が困らないようにするためにも、「争続」防止と節税を兼ねてこれらの免税措置の活用を検討されることをお勧めします。

今回は以上になります。それでは皆さん、どうかくれぐれもご自愛ください。