ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

光陰矢の如しと言いますが、ついこのあいだ年が明けたと思ったらもう年度末(3月31日)になりました。早いものですね。北海道もようやく長い冬が終わり、春めいた陽気の日も増えてきました。今日は春の到来を告げるプロ野球の開幕戦もありますし、あちらこちらで春を感じる今日この頃です。

それでは今日の本題に入って参りましょう。去る3月21日、2017年(平成29年)の公示地価が発表されましたので早速詳細を見ていきたいと思います。まず全用途の全国平均は2年連続で上昇(+0.4%)となりました。用途別では住宅地は9年ぶりに下げ止まり(+0.022%)、商業地は2年連続の上昇(+1.4%)となっています。

三大都市圏ではやや頭打ちの傾向が見られるようになり(住宅地+0.5% 商業地+3.3%)、その代わりに札仙広福と呼ばれる地方中核都市での不動産投資が活発化して高い伸び率(住宅地+2.8% 商業地+6.9%)になっているのが目立ちます。

次に北海道についてですが、こちらはなんと26年ぶりの上昇となり(+0.2%)、用途別では住宅地は引き続き下落していますが(▲0.3%)、商業地は2年連続の上昇(+1.5%)となりました。26年ぶりの上昇に大きく寄与したのは後述するようにやはり札幌ですが、地方部の下落幅が縮小していることも見逃せません。

さらに地域別に詳しく見ていくと、札幌は+3.2%(住宅地+2.0% 商業地+6.1%)と昨年に引き続いて大きく伸びています。札幌では現在中心部再開発の真っ只中ですし、オフィスもほぼ満室状態(空室率は3%台)でホテルの需要も依然活発です。少し先のことですが2030年(予定)には北海道新幹線が札幌まで延伸しますし、その前には札幌に2026年冬季オリンピックを誘致する動きもあります。

札幌の地価上昇はもうしばらく続きそうですが、中央区は割高感も出てきて上昇率が鈍化しており、全用途の上昇率は一桁(+9.7%)になりました。その一方で、西区の住宅地など地下鉄駅等から近い交通至便な周辺地域の地価上昇が目立ってきました。西区発寒7条11丁目及び発寒4条6丁目の標準地ではいずれも+8.4%の上昇率で道内住宅地のそれぞれ3位、4位となっています。

なお、駅の近くなど交通至便な場所の地価が上昇しているのは札幌や北海道に限ったことではなく、全国的な傾向です。これは共働き世帯の増加や高齢化の進行などにより、通勤や買い物・通院等のために公共交通機関の利用に便利な場所が好まれるようになったからです。高齢者の免許返納や若者の車離れなど、車社会に変化の兆しが出ていることの現れのような感じがします。

札幌以外の地域も見ていきましょう。先日北海道新幹線の開業1周年を迎えた函館は▲0.5%(住宅地▲0.6% 商業地▲0.3%)、新幹線の駅がある北斗は▲0.9%(住宅地▲0.7% 商業地▲1.4%)といずれも下落していますが、下落幅は昨年よりも縮小しています。函館駅にほど近い若松町の標準地では+2.5%も上昇しています。道南の観光は新幹線効果で賑わっているとのことですから、公示地価にも一定の新幹線効果があったと言えそうです。

それ以外に目立つのは小樽の商業地が+0.6%と上昇に転じたことです。道内の商業地で上昇した市町村は札幌と小樽のほかは外国人リゾート客で賑わう倶知安(+9.3%)だけです。小樽も2030年予定の北海道新幹線の延伸で駅が設置されますし、老舗観光地の復活がいよいよ始まったのでしょうか。今後の動向にも注目したいと思います。

一方下落については、昨年は道内の標準地が住宅地で全国ワースト10に3か所、商業地で5か所ランクインしました。商業地の全国ワースト1位も北海道の標準地(稚内市中央3丁目)でした。それに対して今年は住宅地はランクインなし、商業地も3か所に減少し最高でもワースト5位でしたので、下落傾向が一服した感があります。

ただ北海道は47都道府県で一番人口減少率が高く、JR北海道の経営問題により将来的には複数の路線が廃止になることも予想されることから、地方部はこれからも厳しい状況が続くと予想されます。夕張のように積極的に地域再生に取り組んでいる自治体もありますので、今後の動向からも目が離せません。

2017年(平成29年)公示地価の概要については以上になります。相続財産の多くを占める土地については、今後も当ブログで地価の動向など最新情報を随時提供して参ります。これからもぜひご覧ください。

それでは今週はこの辺で。
また来週お目にかかります。