ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

前回のブログで書いた春の選抜高校野球決勝戦ですが、周知のとおり、東海大四は1-3で惜しくも負けてしまいました。
7回までは同点だったのですが、8回の攻防が明暗を分けましたね。

それにしても敦賀気比の松本君は凄かったですね。
準決勝の大阪桐蔭戦では100年近い歴史を持つ甲子園大会史上初の2打席連続満塁ホームランで優勝候補の筆頭を粉砕しましたが、
またもや彼のホームランで決着がついてしまいました。

でも互角の闘いの結果、準優勝ですから東海大四もよく頑張りました。
特に4回の無死満塁のピンチを切り抜けた投手の大沢君はとても高校生とは思えない落ち着き払ったマウンドさばきで深く印象に残りました。
負けたとはいえ、素晴らしいピッチングでした。

それにしても優勝した敦賀気比、特に松本君は凄すぎましたね。
勝者、敗者ともに敬意を表したいと思います。
お疲れ様でした。夏も頑張ってください。期待しています。

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さて、本題に入ってまいりましょう。
前回に続いて、今回も平成27年度税制改正についてです。
前回は、実は法人税の減税は相続にも影響するというお話をさせて頂きましたが、今回もその続きです。

ホームページをご覧の皆さんの中には、アパートやマンション等の不動産経営をされている方も多いかと思います。
また、相続対策や遊休地の活用のためにこれから不動産経営をしようとお考えの方もいらっしゃるかと思います。

既に不動産経営をされている方については、本業という方ももちろんいらっしゃるでしょうし、仕事の傍ら副業として行っている、あるいは年金暮らしで年金以外の収入源として不動産経営を行っているなど様々かと思いますが、本業以外の場合は個人経営の形をとっている方が多いのではないでしょうか。

個人経営の場合は、所得税を払うことになりますね。
そして所得税というのは累進課税方式をとっています。
累進課税とは所得が多くなるほど税率が高くなる課税方式です。
下記の所得税速算表をご覧ください。

 平成27年分以降

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え  4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

この表の見方をお教えしますね。
例えば今年の課税所得が1,000万円だったとします。
そうすると所得税はどうなるかというと、下記の式で算出します。
195万円×5%+(330万円-195万円)×10%+(695万円-330万円)×20%+(900万円-695万円)×23%+(1,000万円-900万円)×33%=176万4千円

つまり1,000万円に単純に33%を乗じるのではなく、195万円までは5%、195万円から330万円までは10%、330万円から695万円までは20%、695万円から900万円までは23%、900万円から1,000万円までは33%を乗じて、それらの合計額が所得税額ということになります。
超過した部分だけ高い税率がかかるので超過累進税率と言います。

ただ、この計算は煩雑なので実務上は上記の速算表を使っています。
課税所得1,000万円は900万円を超え1,800万円以下のところに当てはまります。
ここは税率33%、控除額1,536,000円となっていますので、1,000万円×33%-1,536,000円=1、764,000円と計算します。
上記と同じ結果になっています。これだと簡単ですよね。

ここからがいよいよ本題なのですが、法人税は基本的に税率は一本です。
前回お知らせした通り、この4月からは23.9%です。
さらに、中小企業の場合は課税所得800万円までは15%の軽減税率が適用されます(本来は19%ですが、2年延長になりました。)。
したがって、課税所得が多くなると累進課税である所得税より法人税の方が有利になるケースが出てきます。

法人と個人、どちらが有利になるかは最終的には試算してみなければなりませんので一概には言えませんが、課税所得が900万円を超える場合、つまり所得税の速算表で33%の税率が適用されるラインに入ってくると、法人の方が有利になるケースもあると考えた方が良いでしょう。
つまり、個人事業を法人化する、会社にするということも視野に入れるということです。

前回もお知らせしたとおり、法人税は数年内に法人実効税率を20%台に下げる方向ですから、これからも減税になると考えられます。
それに対して所得税は、今回は今後の検討課題ということで見送りになりましたが、配偶者控除等の縮小による増税が基本的な流れです。

また、赤字決算になった場合でも、所得税だと損失は3年間しか繰り越すことができないのに対して、法人税は9年間繰り越すことができ、2年後からは10年間繰り越すことができるようになります。
そういったことから考えても、現在個人で不動産経営をされている方、あるいはこれから不動産経営をお考えの方は、今回の法人税減税を契機に、法人(会社)での不動産経営を検討されてみては如何でしょうか。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
それでは今日はこの辺で。また来週お目にかかります。