ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。
コンサドーレ札幌のホーム不敗神話がついに途切れましたね。札幌ドームでは3勝2分と負けなしでしたが、ガンバ大阪に0-2で敗れてしまいました。都倉の幻の同点ゴール(オフサイド)が惜しかったですね。でも優勝争いをしているガンバ相手に善戦したと思います。次節からは2週連続で勝利のない(1分4敗)アウェー戦です。なんとか勝ち点をもぎ取って残留圏内の15位以上をキープしてもらいたいです。
それでは今日の本題に入って参りましょう。今回は無申告加算税です。無申告加算税は法定申告期限を過ぎてから申告(期限後申告)をした場合などに課せられます。無申告加算税は原則として申告税額の15%ですが、ケースによって5~30%の範囲で5%刻みで変動します。こちらも過少申告加算税同様、今年から税制改正が入っていますのでそれも併せて詳しく見ていきましょう。
まず前々回の例をもう一度取り上げます。贈与税の無申告が税務調査で指摘され、追徴された場合です。例えば平成27年に親から住宅取得等資金1,000万円の贈与を受けたとします(住宅取得等資金の贈与税の非課税制度の要件は満たしているとします)。そして贈与税の申告期限である平成28年3月15日までに贈与税の申告をせず、その後税務調査で無申告の指摘を受け平成29年3月15日に期限後申告を行い、平成29年6月15日に納付したとします。
住宅取得等資金の贈与税の非課税制度は期限内申告でなければ適用を受けることができませんから、この場合は通常の暦年課税になります(相続時精算課税制度の適用を受けていない場合)。この場合の贈与税額(本税)は(1,000万円-基礎控除110万円)×30%-90万円=177万円になります。これに無申告加算税と延滞税が加わります。
この場合の延滞税については前々回書きましたが、無申告加算税は申告税額が50万円までは15%、50万円を超える部分は20%ですから、50万円×15%+(177万円-50万円)×20%=329,000円になります。贈与税の無申告の場合、申告税額が50万円を超えることは十分あり得ますから、5%加重した20%の適用部分が生じる可能性が高いです。ただでさえ過少申告加算税よりも5%重いですから、無申告加算税の厳しさがお判り頂けるのではないかと思います。
ここまでは税務調査で追徴されたケースを見てきました。それでは税務調査が入る前に自分で気づいて期限後申告をした場合はどうでしょうか。これは二つのパターンに分かれます。一つ目は税務調査の通知がある前に期限後申告をした場合です。この場合は原則として無申告加算税は5%になりますので、上記の例だと177万円×5%=88,500円となり、約24万円も軽減されます。したがって、無申告に気づいた場合は自主的に期限後申告をした方が得策だということになります。この辺りは過少申告加算税と考え方は一緒ですね。
二つ目は税務調査の通知があった後で、調査が実施される前に期限後申告をしたケースです。昨年(平成28年)まではこの場合も原則として無申告加算税は5%でしたが、税制改正により今年(平成29年)からは原則として10%(上記の加重部分は15%)の無申告加算税が課せられるようになりました。上記の例だと50万円×10%+(177万円-50万円)×15%=240,500円となりますね。
この改正の趣旨も過少申告加算税と同様、必ずしも自主的に期限後申告したとは言い難い面もあることから、従来の5%よりも重くしたわけです。ただし、税務調査で具体的に指摘されたわけではないので、通常の無申告加算税(15%、20%)よりは軽くしているわけです。ただし、期限後申告をしなければ税務署長による決定等が行われるであろうことを予知して期限後申告をした場合は、通常通りの無申告加算税が課せられます(これは税務調査の通知前であっても同様です)。
なお、上記の税制改正は法定申告期限等が平成29年1月1日以後に到来するものに適用されることになっています。つまり、原則として平成28年以後の贈与が対象になります。今年(平成29年)に入ってから税務調査の通知が行われたものであっても、法定申告期限等が平成28年以前(原則として平成27年以前の贈与)であれば従来通りですので、この場合は税務調査の通知後であっても決定等予知前であれば無申告加算税は従来通り5%です。
少し長くなりましたので、続きは次回といたします。次回も無申告加算税について詳しく解説しますので、またぜひご覧ください。
それでは今週はこの辺で。
また来週お目にかかります。