ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。
今回は当連載の締め括りとなります。前回までの記事も下記のリンクからぜひご覧ください。
【参院選直前短期集中連載①】減税と財源
【参院選直前短期集中連載②】ガソリン税の減税
【参院選直前短期集中連載③】消費税の減税
【参院選直前短期集中連載④】消費税の減税(続き)
【参院選直前短期集中連載⑤】消費税の減税(完)
なお、これまでの繰り返しになりますが、当ブログは特定の政党や政治家を支援するものでもなければ、批判するものでもありません。また、財務省や国税庁を支持したり批判するものでもありません。あくまでも税理士の視点から減税等の問題について、客観的に解説しています。その点どうかご承知おきください。
まず最初に、消費税減税に関する世論の動向等について簡単に触れておきます。最近の世論調査では消費税減税に賛成が圧倒的に多くなっており、特に「将来にツケを回される」はずの若年層ほど消費税減税に賛成する割合が増えているというのは興味深い現象です。物価高以前の同様の世論調査では消費税減税に否定的な意見の方が多かったことを考えると、それだけ物価高は多くの国民にとって切実な問題になっているということだと思います。
現在の選挙で苦戦を強いられている政党や候補者が「助けてください!」を連呼しているようです。当事務所の窓からもそうした大音量がひっきりなしに聞こえてきます。選挙が終わって当選した暁には、投票して助けてくれた国民に感謝し、民意に従って速やかに物価高対策を実施して、今度は国民を物価高から「助けて」いただきたいと切に願います。国民を助けようとしない国会議員に価値はありません。国会議員の数が多すぎるという声が増えているのはなぜなのか、よくよく考えていただかないと、海外で伸張している民主主義を否定する勢力が日本でも台頭することになると思われます。そうなると、日本の民主主義は危機に立たされ、暴力とテロが横行したかつての日本に回帰することにもなりかねません。
大手メディアなどではポピュリズム(大衆迎合)政治だと批判する向きもありますが、民意を否定するということは民主主義を否定するということです。政治家は民意に背いてても「正しいこと」を為すべきだというのが最近の風潮ですが、そもそも何が「正しくて」何が「間違っている」のかはそれぞれの人の価値観次第です。誰がどう見ても「正しいこと」「間違っていること」もあるにはありますが、そのように白黒がはっきりしている絶対的な善悪よりも、グレーゾーン、つまり人によって見方が変わる相対的な善悪の方が世の中圧倒的に多いのではないでしょうか。
例えば、アメリカのトランプ大統領の関税政策は、私たち多くの日本人にとっては「間違っている」と感じますが、トランプ大統領に投票し支持している多くのアメリカ人にとっては「正しいこと」をしているわけです。有識者の間では「大統領になれば現実的な対応をするだろう」という声もありましたが、それは根拠なき楽観論に過ぎませんでした。日本の政治家が選挙公約を簡単に反古にするのにあまりにも慣れ過ぎていて、アメリカもそうであるに違いないと思い込んだフシがあります。
しかし、トランプ大統領は第1期目にも就任初日に、選挙公約だったTPP(環太平洋パートナーシップ協定)からの脱退を表明した過去があります。今回の選挙でも、「一番好きな言葉は関税だ!」と言っていたくらいですから、今は選挙公約をその通りに実行しているに過ぎません。そして、その関税を原資にして、物価高対策として所得税などの大規模減税の実施も決まりました。「正しい」か「間違っている」かは時間が経ってみないとわかりませんが、これはアメリカ国民が民主主義のルールに則って選択した道なのです。既存の政治家に対する不信感が、政治の素人であったトランプ大統領を二度にわたって大統領に押し上げたわけです。
何が「正しくて」何が「間違っているのか」は人によって違うわけですから、最終的には多数決で何が「正しいか」を決める、それが民主主義のルールです。多数派が常に正しいという保証はありませんが、だからと言って何かルールを決めないことにはいつまで経っても決められないことになります。そこで、少数意見の尊重と熟議を前提に、最終的には多数決で決めるという民主主義のルールが出来上がったわけです。国会だけではなく、多数決のルールは日常のあらゆる場面で見られますよね。
もちろん人間が作った制度ですから、完璧はあり得ません。むしろ欠陥だらけかもしれません。しかし、独裁や寡頭制よりは相対的に優れているので、日本を含む先進国の多くが民主主義を選択しているわけです。
大手メディアはあるときは「民意を無視するな!」と言い、あるときは「ポピュリズムだ!」などと言いますが、これでは二枚舌だと言われても仕方がありません。最近は「オールドメディア」と呼ばれてその報道姿勢等が批判されており、各種調査でも信頼度が軒並み低下しています。報道の自由度ランキングでも、日本は66位でG7では最下位です。他のG7は、ドイツ11位、イギリス20位、カナダ21位、フランス25位、イタリア49位、アメリカ57位となっています。日本の報道は国際的にも評価が低いことがわかります。
特に新聞は、軒並み消費税減税に反対し、更なる増税すら主張していますが、その一方で新聞の宅配は軽減税率(8%)適用の恩恵を受けており、大いに矛盾しています。そのような主張をするのであれば、「先ず隗より始めよ」、軽減税率の適用返上を自主的に国に申し出るべきです。活字文化を守るという大義名分を掲げていますが、それならば本にも軽減税率を適用すべきだということになります。人間の生活に不可欠な「衣食住」の「衣」でさえ、標準税率の10%が適用されています。新聞の宅配が、飲食料品に匹敵するとはとても思えません。
最近は若い人を中心に新聞を取らなくなっており、各社随分と部数を減らしています。インターネットの普及が最も大きな要因だと思われますが、このようなご都合主義的な報道姿勢に対する不信感も大きいと思われます。ネット上にもデマが溢れ返っていますが、だからと言って新聞などの大手メディアが信頼できるということにはなりません。戦前の戦争を国民に煽ったのも大手メディアでした。
個人的には、1983年(昭和58年)9月1日の出来事が今も忘れられません。この日、大韓航空機撃墜事件が発生し多数の死者が出ました。大手メディアは当初こぞって「大韓航空機、サハリンに強制着陸」と報道しました。地元紙の夕刊一面にも大見出しになりました。心配で空港に集まったご家族の方々が無事を喜んでいる映像が今も鮮明に記憶に残っています。しかし、ご承知のとおり大韓航空機はソ連に撃墜されており、乗客乗員全員死亡という最悪の結果となりました。とんでもない大誤報だったわけです。私は当時まだ高校生でしたので、なぜそのような大誤報が起こってしまったのか、その理由がよくわかりませんでしたが、今振り返ると、大手メディアには全く裏も取らずに報道する体質があるのだなと感じます。
随分と長くなってしまいましたが、これで終わりといたします。ここまで6回に渡って参院選の一大争点となっている減税について取り上げました。国民は納税者であり主権者です。税金に対する国民の関心が高まっているのは、とても良いことだと思います。微力ながら当ブログがその一助になれば嬉しく思います。また随時このような連載もしたいと思っています。
今年に入ってからは、「103万円の壁」で所得税・住民税について取り上げ、そして今回の連載ではガソリン税・消費税について取り上げました。ブログ主は相続専門税理士と聞いていたが、他の税目にも詳しいんだな(笑)と皆さんに思っていただければ幸いです。相続といっても、その前後では相続税・贈与税以外の税目が絡むこともありますし、税法以外の法律の知識も必要ですから、常に研鑽する必要があります。この仕事をするようになってからは、人生一生勉強だと痛感する毎日です。
次回からは、また原点に戻って「相続ブログ」として相続税・贈与税等に関する有益な情報を発信して参ります。これからも是非ご愛読ください。今後とも何卒よろしくお願いいたします。