ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

先日終了した世界卓球では日本人選手が大活躍しましたね。混合ダブルスでは石川佳純・吉村真晴ペアが48年ぶりの金メダル、男子ダブルスでは大島祐哉・森薗政崇ペアがこちらも48年ぶりの銀メダル、さらに女子シングルスでは4月のアジア選手権で優勝した17歳の平野美宇選手がこれまた48年ぶりの銅メダルと、今回の世界卓球は歴史的な大会となりました。48年前は文化大革命中の中国は不参加でしたから、世界最強の中国も参加した大会に限るといずれも五十数年ぶりの快挙ということになるそうです。

他にも女子ダブルスで伊藤美誠・早田ひなペア(平野美宇選手と同学年で、どちらも16歳!)が16年ぶりの銅メダル、男子シングルスでは13歳の張本智和選手が日本のエース水谷隼選手らを破って史上最年少でのベスト8など、若い力の台頭が際立っていました。中国の背中が少し見えてきましたね。これからがとても楽しみです。

それでは今日の本題に入って参りましょう。今回も前回に引き続き重加算税です。先週は重加算税の概要についてご説明しましたが、今週は具体例も使ってさらに詳しく解説していきます。

まずは過少申告加算税に代えて課される重加算税から見ていきましょう。以前使った例と同様の例をまた使います。平成29年1月5日に相続税の期限内申告をした後税務調査が入り、財産の申告漏れ等が見つかって平成30年4月5日に修正申告をしたとします。当初申告税額が3,000万円、修正申告税額が4,000万円だとしますと、本税は差額の1,000万円を追加納付することになります。この場合の過少申告加算税は1、000万円×10%=100万円となりますが、「隠ぺい又は仮装」があった場合には過少申告加算税ではなく重加算税が課されます。この場合の重加算税は1、000万円×35%=350万円となります。加算税が250万円も増えるわけですね。

次に無申告加算税に代えて課される重加算税について見ていきましょう。こちらも以前使った例と同様の例をまた使います。平成28年に親から住宅取得等資金700万円の贈与を受けたとします(住宅取得等資金の贈与税の非課税制度の要件は満たしているとします)。そして贈与税の法定申告期限である平成29年3月15日までに贈与税の申告をせず、その後税務調査で無申告の指摘を受け平成30年4月10日に期限後申告を行ったとします。

何度も繰り返しになりますが、住宅取得等資金の贈与税の非課税制度は期限内申告でなければ適用を受けることができません。したがってこの場合は通常の暦年課税になりますので(相続時精算課税制度の適用を受けていない場合)、贈与税額(本税)は(700万円-基礎控除110万円)×20%-30万円=88万円になります。そして無申告加算税は50万円×15%+(88万円-50万円)×20%=151,000円となりますが、「隠ぺい又は仮装」があった場合には無申告加算税ではなく重加算税が課されます。この場合の重加算税は88万円×40%=352,000円となりますので、加算税が約20万円も増えるわけです。

それでは重加算税の賦課が今回初めてではなかった場合はどうでしょうか。昨年までは重加算税の賦課が何回目であっても課税割合(35%、40%)が変わることはありませんでしたが、税制改正により今年から10%加重(45%、50%)されるケースが生じることとなりました。上記の例では前者の場合は平成25年4月5日以降に、後者の場合は平成25年4月10日以降に重加算税の賦課があった場合には、それぞれ修正申告日(平成30年4月5日)・期限後申告日(平成30年4月10日)から遡って5年以内の短期間に重加算税の賦課が繰り返されたということになります。

この場合は重加算税がそれぞれ10%加重されますから、前者の例だと重加算税は1、000万円×45%=450万円、後者の例だと重加算税は88万円×50%=44万円となります。このほかに延滞税もありますから、相続財産を意図的に隠したりごまかしたりするリスクの大きさがお判り頂けるのではないかと思います。なお、5年以内の判定は前回の重加算税賦課日から今回の重加算税賦課に係る修正申告日・期限後申告日までで行います。賦課日または申告日で揃っているわけではありませんので、その点は注意が必要です。

なお、上記の税制改正は法定申告期限等が平成29年1月1日以後に到来するものに適用されることになっていますが、これは2回目の重加算税が加重賦課される申告に係るものです。つまり、2回目の重加算税が賦課される申告に係る法定申告期限等が平成29年1月1日以後であれば、1回目の重加算税が賦課された申告に係る法定申告期限等がたとえ平成28年12月31日以前であっても、重加算税は加重されますので十分注意してください。

重加算税については以上になります。次回は2か月近くにわたって連載してきた「税務調査と附帯税」についてのまとめになります。附帯税のような余分な税金を払わないようにするためにはどうしたら良いのか、皆さんにお伝えしたいと思っておりますので、是非またご覧ください。それと都合により来週は当ブログをお休みしますので、次回は再来週になります。併せてよろしくお願いいたします。

それでは今週はこの辺で。
また再来週お目にかかります。