ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。
久しぶりのブログ更新になります。しばらくお休みを頂き申し訳ありませんでした。早いものでもう6月半ばとなり、サッカーワールドカップも始まりましたね。前回大会優勝でヨーロッパ予選でも10戦全勝だった優勝候補の本命ドイツが初戦でいきなり敗れ、ドイツの有力な対抗馬と目されているアルゼンチン・ブラジル・スペインも引き分け発進と、波乱含みのスタートになりました。フランスも勝ったとはいえ大苦戦でしたし、ワールドカップで楽に勝てる試合は殆どないということですね。そもそも前回3位のオランダ、優勝4回のイタリア、コパ・アメリカ(南米選手権)2連覇のチリは地区予選敗退で出場すらできませんし、改めて凄い大会だと感じます。日本代表(サムライブルー)は果たしてどうなるでしょうか?明日はテレビで応援したいと思います。
それから今朝大阪で大きな地震がありました。死者やけが人も出ているようです。被災者の皆様方には心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。被害がこれ以上広がらないことを願っています。
それでは本題に入って参りましょう。今日からは新連載です。今回から小規模宅地等の特例について何回かに渡ってお話ししていきます。相続税の申告において小規模宅地等の特例は適用できるケースが多い上に、相続税の減額幅も大きい非常に重要な特例になります。また、今年度(平成30年度)も含め、ここ数年小規模宅地等の特例に関する大きな税制改正も行われています。今回は小規模宅地等の特例の概要についてご説明していきたいと思います。
小規模宅地等の特例の対象となる宅地等(以下「特例対象宅地等」といいます。)とは、
①個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに、
②当該相続の開始の直前において、
③当該相続若しくは遺贈に係る被相続人又は当該被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の親族(以下「被相続人等」といいます。)の
④事業の用又は居住の用に供されていた宅地等で
⑤財務省令で定める建物又は構築物の敷地の用に供されているもののうち政令で定めるもの
をいいます。
条文通り書いたので少しわかりにくいかもしれませんが、順番に見ていきましょう。
①で「相続又は遺贈により」となっていますので、生前贈与は適用不可(相続時精算課税であっても不可)であることに注意します。ただし死因贈与は相続税法上は遺贈と同様の取り扱いになりますから、死因贈与であれば適用可能です。
②~⑤は要は被相続人等の生計の基盤となっていた一定の宅地等については相続税の計算上特例により優遇しようという趣旨です。したがって未利用地(空き地)は適用不可になります。なお、宅地「等」となっているのは、借地権なども適用可能であるからです。
特例対象宅地等は次の4つに分類されます。
1.特定居住用宅地等
2.貸付事業用宅地等
3.特定事業用宅地等
4.特定同族会社事業用宅地等
1.は居住用、2~4は事業用になります。2はアパートやマンション・駐車場経営等をしている場合です。3と4は2以外の事業で、3は個人事業、4は法人化している場合です。1と2は今年度(平成30年度)も重要な税制改正が行われています。
そして小規模宅地等の特例を選択した特例対象宅地等(以下「選択特例対象宅地等」といいます。)に係る相続税の課税価格は1・3・4については80%減額、2については50%減額になります(ただしそれぞれに面積制限があります)。非常に大きな特例であることがおわかり頂けるかと思います。
なぜこのような特例が認められているかというと、被相続人等の生計の基盤となっていた宅地等は引き続き被相続人の親族の生計の基盤になる可能性が高く、相続税の納税により生計の基盤である宅地等を手放す事態を防ぐ必要があるからです。したがって過大な納税を避け、生計の基盤を失わないようにするためには、小規模宅地等の特例の適用要件を慎重に確認し、適用可能である場合は適用漏れがないように確実に申告しなければなりません。なお、小規模宅地等の特例は昭和50年に個別通達という形で制度が設けられ、昭和58年からは現在の租税特別措置法に法定化され、徐々に拡充されてきました。
小規模宅地等の特例の概要については以上になります。次回は特定居住用宅地等について詳しく見ていきたいと思います。次回もぜひご覧ください。
それでは今週はこの辺で。
また再来週お目にかかります