ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

先週に続いてまずはオリンピックの話題から。今回の冬季オリンピックはメダルラッシュに沸きましたね。日本は13個のメダル(金4銀5銅4)を獲得し、長野オリンピックの10個(金5銀1銅4)を超えて過去最高となりました。長野の後はソルトレイクシティ2個(銀1銅1)、トリノ1個(金)と不振が続きましたが、その後の地道な強化策が今回実ったように思います。冬のオリンピックは北海道出身の選手が活躍することも多くて嬉しいのですが、特に銅メダルを獲得した女子カーリングは話題になりましたね。「そだねー」は流行語大賞を取れるでしょうか?(笑)。スキップの藤沢選手やサードの吉田知那美選手は一度大きな挫折を味わっているので、今回苦労が報われて本当に良かったなと思います。選手や関係者の皆さん、大変お疲れ様でした。

それでは本題に入って参りましょう。今回も1月16日に発表された民法(相続関係)改正要綱案を見ていきます。今回は遺言制度の見直しについてです。最近は遺言が増加し、それに伴いトラブルも増加していますので、そうした状況の変化に対応した改正になります。改正点は主に2つあり、いずれも自筆証書遺言に関する見直しです。

まず一つ目は自筆証書遺言の方式緩和です。自筆証書遺言はその名の通り、遺言者が自分自身で全て手書きしなければならず、現在はワープロ打ちのもの等は一切認められていません。しかし遺言者が高齢者等で手が不自由である場合など、遺言を全て自分で書くのが困難な場合があります。また、自筆証書遺言は要式が厳しく定められており、それに反すると遺言全体が無効となることもあって、書くのにとても神経を使うなど遺言者にかかる労力が非常に大きくなっています。

そこで改正要綱案ではこうした遺言者の負担を軽減するために、遺言書本文は従来通り自筆でなければなりませんが、遺言書本文に添付する財産目録についてはワープロ打ちのもの等を認めることになりました。ただし偽造防止のため、財産目録の全てのページに遺言者自身の署名と押印が必要です。

二つ目は自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度の創設です。自筆証書遺言には紛失や改ざんのリスクがあります。遺言者の死後遺言書が見つからなかったり、見つかったとしてもその筆跡や内容を巡って相続人等の間でトラブルが起こることもあります。また自筆証書遺言の場合、遺言者が亡くなった後に相続人等は遺言者の死亡時の住所を管轄する家庭裁判所において遺言書の検認手続きを行わなければならず、相続人等が遠隔地に住んでいる場合などはその手続きが負担になることもあります。そこでこれらの危険や煩雑さを解消するために、遺言書の保管制度が新たに作られることとなりました。

具体的には遺言者が自分の住所地若しくは本籍地又は所有不動産の所在地を管轄する法務局に遺言書を封をしないで持参し、保管を申請します。法務局では自筆証書遺言の要式を満たしているかどうかを確認し、保管手続が済んだ遺言書は画像情報化されて保存されることになります。そして保管されている遺言書は、遺言者の生存中は遺言者のみ閲覧請求をすることができ、遺言者が亡くなった後は相続人等が閲覧請求できます。また相続人等は、遺言者が亡くなった後であれば遺言書の画像情報等を証明した書面の交付も請求できます。これらの手続により相続人等は遺言書の内容を確認することが可能になります。

遺言制度の見直しについては以上になります。3回に渡って連載してきた民法(相続関係)改正要綱案については一旦これで終わりになりますが、今後民法改正法案の提出などに伴い、また新たに詳しいことが判明しましたら続報していきたいと思います。それと3月は業務輻輳のためブログはお休みをいただき、4月からまた再開いたしますので何卒よろしくお願いいたします。4月からは新連載も予定しておりますので、これからも当ブログをぜひご覧ください。

それでは今週はこの辺で。
また4月にお目にかかります。