ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

4月になりいよいよ新年度を迎えました。北海道は長い冬がようやく終わり、春の息吹があちらこちらで感じられる今日この頃です。新年度ということで環境も変わり、心機一転、決意を新たにしている方も多いのではないかと思います。私は環境こそ特に変化はありませんが、決意を新たにしている一人です。当ブログもますますパワーアップしていきたいと思っておりますので、今年度も何卒よろしくお願いいたします。

それでは今日の本題に入って参りましょう。今日は前回の2016年(平成28年)公示地価の続きです。今回は道内編です。北海道も全国と同様の傾向となっていて、住宅地は0.5%下落しましたが、商業地が1.2%の上昇と、やはり8年ぶりのプラスに転じ、全体としては横ばいという結果となりました。昨年までは24年連続で下落していましたので、バブル期以来、なんと四半世紀ぶりに下げ止まったということになります。

まず上昇した商業地から見ていきますと、やはり札幌が大きく牽引しました。札幌の商業地は6.0%の上昇となり、昨年の1.5%に比べて4倍もの大幅な伸び率となりました。要因としてはまず外国人観光客の急増が挙げられます。新千歳空港の国際線の旅客数は平成27年に200万人を突破し、3年前に比べて倍増しています。また、旺盛なオフィス需要に加えて、札幌特有の事情としては市電のループ化も地価の上昇に大きく寄与しました。

市電の起点となる4プラ(南1西4)は札幌日興ビル(北4西4)と並んで、道内最高額を2年ぶりに回復しました。昨年はそれまで32年連続で記録してきた道内最高額の座を譲り渡し、大通地区の地盤沈下を象徴する出来事となりましたが、今年は市電のループ化を契機に大通地区の再活性化を予感させる動きとなりました。札幌も中心部の各地で再開発が進んでいますので、今後も商業地の地価上昇はしばらく続くのではないかと見込まれます。

一方で、地方では商業地の地価の大幅な下落も見られます。商業地の下落率全国ワースト10に道内は5か所も入っており、全国1位は稚内市中央の7.8%下落となりました。これには複数の水産加工会社の倒産が大きく影響したようです。全国3位の古平町浜町(7.5%下落)も一昨年に水産加工業協同組合が倒産しており、水産加工業の不振が影を落としていると言えそうです。

北海道新幹線の開業に沸く函館の商業地は0.6%の下落となりました。下落率は縮まっていますが、調査時点(平成28年1月1日現在)では明確な新幹線効果はまだ見られません。新幹線の開業は3月26日でしたから、もう少し注意深く今後の動向を追っていく必要がありそうです。9月に発表される基準地価(毎年7月1日現在の都道府県地価調査による地価)に注目したいと思います。

次に住宅地を見ていきましょう。こちらもやはり札幌が2.0%の上昇となり、昨年の0.7%に比べて約3倍もの伸び率になっていることが目立ちます。特に高級住宅街の円山・宮の森やJR桑園駅周辺、そしてループ化した市電の沿線などで伸び率が高くなっています。昨年はなかった二桁の上昇率になっているところも多く、住宅地の上昇率全国ベスト10の2位から7位まではなんと札幌が占めています。

マンション需要も旺盛で、中央区ではマンション価格の高騰も見受けられます。それに伴い中央区周辺の地価も押し上げられ、豊平区の北海学園大学周辺など地下鉄駅周辺の利便性が高い地域を中心に地価が上昇しています。一方で、札幌市内でも西区平和3条7丁目や南区真駒内165番58など最寄りの地下鉄駅から少し離れている地点では大幅に地価が下落しているところもあります。近年は都市部と地方の二極化がよく言われますが、札幌市内でも二極化が進んでいると言えそうです。

地方では今や国際的なリゾート地として有名になった「ニセコ」を擁する倶知安町の旭が住宅地の上昇率全国1位(19.7%)となりました。これからも別荘やホテルの建設などリゾート開発の予定が目白押しですので、もうしばらく地価の大幅な上昇は続きそうです。一方で増毛町の住宅地2地点がいずれも住宅地の下落率全国ワースト10に入っており(5位と7位)、これは今年度中にも予想されるJR留萌線(留萌ー増毛間)の廃止が影響したと言えそうです。

函館の住宅地は1.1%の下落となり、昨年の1.6%よりは縮小しましたがこちらも商業地と同様、調査時点ではまだ新幹線効果は感じられません。新函館北斗駅に比較的近い北斗市の2地点も横ばいもしくは小幅な下落となっています。こちらも今後の動向に注目したいところです。

2016年(平成28年)公示地価の概要については以上になります。地価の動向は相続税等の土地評価にも大きく影響してきますので、今後も公的価格の発表など節目節目で随時地価の動向については当ブログでお知らせしていく予定です。これからもぜひご覧ください。

それでは今週はこの辺で。
また来週お目にかかります。