ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

将棋の羽生善治九段が竜王戦挑戦を決めましたね。10月9日からはいよいよタイトル獲得通算100期を目指した戦いが始まります。9月27日に50歳となった羽生九段ですが、50代のタイトルホルダーはこれまで、大山康晴十五世名人、二上達也九段(羽生九段の師匠)、米長邦雄永世棋聖の3人しかいません。二上九段と米長永世棋聖は49歳でタイトルを獲得し、そのままタイトルを保持していましたから、50代で挑戦者となりタイトルを奪取したのは大山十五世名人だけです。そういった意味でも歴史的なタイトル戦ということになりそうです。迎え撃つ豊島将之竜王(二冠)は、次々とタイトルを獲得するのですが、まだ防衛がありません。豊島竜王にとっても初防衛を目指す重要なタイトル戦ですので、凄い戦いになるのではないかと期待が高まります。開幕が今からとても楽しみです。

それでは本題に入って参りましょう。前回予告しましたように、今回は本日公表された令和2年都道府県地価調査の結果について、解説していきたいと思います。地価調査とは毎年7月1日時点の地価を調査したもので、毎年9月に発表されます。今年の地価調査は、新型コロナウイルス感染症の流行が地価の動向にどのように影響しているのか、相続税等の申告に係る路線価との兼ね合いという意味でも注目されていました。新型コロナウイルス感染症の中、9月中の発表にこぎ着けた関係者の皆様には心から敬意を表したいと思います。改めて当ブログの関連記事のリンクも貼っておきますので、こちらの方も併せてご覧ください。

新型コロナウイルス感染症関連パート4(令和2年分路線価との関係)

まず全国的な動向ですが、新型コロナウイルス感染症の影響が出始めたのは今年に入ってからですから、この1年間の地価動向は前半と後半では異なるものと想定されます。そこで地価公示との共通地点における半年ごとの地価変動率推移を見てみますと、前半(令和元年7月1日から令和2年1月1日まで)の変動率は住宅地が+0.8%、商業地が+2.5%、後半(令和2年1月1日から令和2年7月1日まで)の変動率は住宅地が▲0.4%、商業地が▲1.4%という結果となっています。後半はマイナスに転じ、明らかに新型コロナウイルス感染症の影響が出ていますね。特に商業地で影響が顕著に現れているのが見て取れます。

次に北海道を含む地方圏の動向を見ていきます。地方圏はさらに地方四市(札幌・仙台・広島・福岡)とその他に分けられます。地方四市の前半の変動率は住宅地が+3.5%、商業地が+7.4%、後半の変動率は住宅地が+1.0%、商業地が+0.7%という結果となっています。伸び率が大幅に小さくなったことから、ここでも新型コロナウイルス感染症の影響が見て取れますが、それでもプラスを維持しているのが目につきます。一方その他の地方は、前半の変動率は住宅地が+0.7%、商業地が+0.8%、後半の変動率は住宅地が▲0.2%、商業地が▲0.9%という結果となっており、全国的な動向と同様に後半はマイナスに転じています。

北海道の動向については、半年ごとの内訳がわかりませんので1年間の変動率で見ていきます。まず札幌ですが、住宅地が+6.1%、商業地が+6.6%といずれも高い伸び率を示しています。特に住宅地は昨年の+6.1%を維持しており、新型コロナウイルス感染症の影響は特に見られません。商業地については昨年が+11.0%、一昨年が+10.0%と二桁の伸び率でしたから、この伸び率の鈍化は新型コロナウイルス感染症の影響によるものだと考えられます。北海道からもそのように発表されています。

次に札幌以外の市ですが、住宅地が▲0.5%、商業地が▲0.3%となっており、特に商業地は昨年のプラスからマイナスに転じています。ただし、いずれも一昨年よりは下落幅は小さくなっています。最後に町村ですが、住宅地が▲2.1%、商業地が▲2.9%となっており、いずれも昨年より下落幅は若干拡大しています。しかしこちらも一昨年と比べると、下落幅は同じか若しくは縮小しています。

こうして見てみると、新型コロナウイルス感染症の影響は特に商業地を中心に一定程度確認することができますが、今のところ極端に大きなものではないということが言えそうです。例えば令和元年東日本台風等の被災地では12~13%下落しているところもあり、また昨年の地価調査では平成30年7月豪雨(西日本豪雨)の被災地で15~16%の下落を記録したところもあったことに比べると、下落幅は小さくなっています。もちろん地域によってはその影響が大きいところもあるでしょうから、もう少し細かく見ていかなければならない部分もありますが、現時点では7月に発表された路線価でひとまず相続税の申告は進めて良いものと考えられます。

ただし、評価対象地が今回大幅に下落した地点(基準地)の近くにある場合は要注意です。今後国税庁から何らかの調整率(補正率)表が発表される可能性もありますので、国税庁のホームページや報道等をこまめにチェックするようにしてください。新しい情報が出ましたら当ブログでもお知らせいたします。令和2年都道府県地価調査の結果については以上になります。

それでは今回はこの辺で。
皆さんくれぐれもご自愛ください。