ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

早いもので今日から10月となりました。ここ最近はめっきり涼しくなりましたね。朝晩は少し寒いくらいです。日も短くなってきて、少しずつ冬の足音が近づいてきました。今年の冬は新型コロナウイルス感染症がどうなっていくのかも非常に気になります。再度大きな流行の波が来ないことを願うばかりです。

それでは本題に入って参りましょう。現在5年に1度の国勢調査が行われていますね。今年は1920年に第1回の国勢調査が始まってからちょうど100年の節目の年となり、今回が第21回目です。今回の国勢調査は新型コロナウイルス感染症に対応して、インターネットか郵送での回答が推奨されています。従来は調査員の方が回答用紙を回収するのに大変苦労されたようですが、今回の国勢調査は効率化を図る良い機会であるように思います。そして、国勢調査の結果と今年の4月から始まった配偶者居住権とは密接な関係がありますので、今日はそれについて解説していきたいと思います。まずは少しボリュームが多いですが、以前当ブログで配偶者居住権について解説していますので、こちらも併せてぜひご覧ください。

平成31年度【令和元年度】税制改正について(その12 民法(相続法)改正関連⑧(配偶者(長期)居住権パート1))

平成31年度【令和元年度】税制改正について(その13 民法(相続法)改正関連⑨(配偶者(長期)居住権パート2))

平成31年度【令和元年度】税制改正について(その14 民法(相続法)改正関連⑩(配偶者(長期)居住権パート3))

平成31年度【令和元年度】税制改正について(その15 民法(相続法)改正関連⑪(配偶者(長期)居住権パート4))

国勢調査の結果を基にして様々な集計がされますが、厚生労働省では「完全生命表」という男女別・年齢別の平均余命等の一覧表を作成し、公表しています。最新のものは下記の通りです。今年の国勢調査を基に作成される第23回完全生命表は、令和4年春頃公表されるものと思われます。

第22回完全生命表(男性)
第22回完全生命表(女性)

そして配偶者居住権及び配偶者居住権に基づく敷地利用権の評価をする上で、この完全生命表の平均余命を使います。詳しい算式及びその計算例は当ブログの上記リンクのパート2及びパート3をご覧いただければと思いますが、完全生命表は配偶者居住権が設定された時の属する年の1月1日現在において公表されている最新のものを使いますので、令和4年までの配偶者居住権設定については現在の第22回完全生命表、令和5年からの配偶者居住権設定については今年の国勢調査に基づく第23回完全生命表を用いることになるものと考えられます。

ここで気をつけなければならないのは、相続開始時ではなく配偶者居住権設定時を基準としていることと、その年の1月1日時点で公表されている完全生命表を用いるという点です。被相続人が遺言で配偶者居住権を設定した場合は、配偶者居住権設定時と相続開始時は一致しますが、相続人間の遺産分割協議で配偶者居住権を設定した場合は、配偶者居住権設定時と相続開始時は一致しません(相続開始の後に配偶者居住権を設定することとなります)ので、注意が必要です。したがって、第23回完全生命表が公表された後もしばらくの間は第22回完全生命表を用いるケースが生じ得ます。

このように一見税務とは関係なさそうな国勢調査も、配偶者居住権を設定した場合の相続税申告と密接に関係してきます。どの完全生命表を用いるのかは非常に重要で、これを間違えると誤った申告となってしまい、税務上不利益を被る恐れがありますので、十分に注意してください。

国勢調査と配偶者居住権の関係については以上になります。次回からは令和2年度税制改正について、連載を開始する予定です。次回もぜひご覧ください。

それでは今回はこの辺で。
皆さんくれぐれもご自愛ください。