ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

将棋の藤井聡太七段が7月16日の棋聖戦第4局に勝利し、見事史上最年少でのタイトル獲得となりました。おめでとうございます!前々回のブログで棋聖戦第4局までにタイトルを獲得すれば、17歳のタイトルホルダーが実現すると書きましたが(藤井七段の誕生日は7月19日)、その通りの結果となりました。期待通りの結果を出すところがやはりスーパースターですね。これからは藤井棋聖ということになりますが、もしかするとしばらくは段位で呼ぶことはない(つまり無冠になることはない)かもしれません。現在2連勝中の王位戦も注目ですね。

それでは本題に入って参りましょう。今回は相続税や贈与税の納税について、新型コロナウイルス感染症との関係はどのようになるのかを見ていきたいと思います。

新型コロナウイルス感染症に対応して、納税猶予制度の特例が新たに設けられています。これは令和2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が前年同期に比べて概ね20%以上減少しており、令和2年2月1日から令和3年2月1日までに納期限が到来する国税を一時に納付することが困難である場合に、無担保かつ延滞税なしで1年間納税の猶予が受けられるというものです。手続きとしてはまず国税局猶予相談センターに電話し(下記リンク先参照)、その後税務署長に納税猶予の申請を行うことになります。申請が許可されれば1年間納税が猶予されます。

国税局猶予相談センター
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan/callcenter/index.htm

納税猶予の対象は国税全般ですから、上記の要件を満たせば相続税や贈与税も納税猶予を受けることが可能です。ただし、相続税や贈与税は財産課税ですから、所得課税である所得税や法人税とは異なる面もあります。つまり相続税や贈与税を一時に納付できないのは、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減ったからというよりは、相続等や贈与で取得した財産の中に換金困難なものが多く、十分な納税資金を用意できないことが主な理由であると考えられます。したがって、収入が回復すれば納税の見込みが立つ所得税や法人税と違って、相続税や贈与税は財産構成上の問題から、納税猶予を受けたとしても1年後に納税できる見込みは立たないことが多いものと思われます。

このような場合に用意されている制度が延納・物納(物納は相続税のみ)です。延納は分割納付、物納は相続財産により納付します。新型コロナウイルス感染症とは関係なく利用できる制度ですが、申告期限までに申請し、税務署長の許可を受ける必要があります。物納は不動産になることが多いと思われますが、境界画定などの事前の準備が必要となり、相続開始前から物納を想定していないとハードルが高くなります。延納は利子税がかかり原則として担保も必要ですが、相続財産の中に収益物件(賃貸アパート等)があって、定期的な収入が見込める場合は検討に値します。もちろん給与や事業などの定期収入で納税することも可能です。また、納税資金に余裕ができた場合は、利子税を節約するために繰り上げて納税することも可能です。

このように相続税や贈与税の場合は、納税猶予では根本的な解決にならないことが多く、延納・物納の利用も視野に入れる必要があります。相続税や贈与税は納税額も多額になりますので、納税資金の確保には十分留意してください。

新型コロナウイルス感染症に関する連載記事は今回でいったん区切りとなりますが、今後も新たな動きが出てきましたら随時お知らせしていく予定です。次回からはまた別の企画を考えていますので、これからも当ブログをぜひご覧ください。

それでは今回はこの辺で。
皆さんくれぐれもご自愛ください。