ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

厳しい残暑が続いていますが、皆さん夏バテはしていませんか?北海道は昨日今日と暑さも一段落ですが、週末はまた暑くなるようです。8月17日には静岡県浜松市で41.1度を観測しましたが、これは2年前の埼玉県熊谷市に並ぶ日本タイ記録です。日本では1933年に山形県山形市で観測した40.8度が長らく日本記録でした。2007年に岐阜県多治見市で40.9度を観測して74年ぶりに日本記録を更新し、2013年には高知県四万十市で41.0度を観測して再度日本記録を更新しました。そして2018年に埼玉県熊谷市で41.1度を観測してさらに日本記録を更新していたわけです。最近は日本でも40度以上を観測することが珍しいことではなくなりました。特に今年はマスクを着用しなければなりませんので、暑さが余計につらいですね。9月も例年より暑いようですが、早くこの猛暑が去ってくれることを願っています。

それでは本題に入って参りましょう。今回は令和2年7月10日にスタートした自筆証書遺言書保管制度についてご紹介していきます。これに関連して昨年当ブログでも記事を書いていますので、こちらの方も併せてご覧ください。

平成31年度【令和元年度】税制改正について(その9 民法(相続法)改正関連⑤(遺言制度に関する見直し))

最近は相続に備えて遺言を残す方が増えています。一般的に利用される遺言の方式としては、公正証書遺言と自筆証書遺言の二つがあります。このうち公正証書遺言とは、遺言者が原則として最寄りの公証役場に出向いて、法律のプロである公証人に遺言書を作成してもらう方式です。数万円から十数万円程度の費用はかかりますが、最も安心・確実な方式です。遺言者が病気等で公証役場に出向けない場合は、公証人が出張もしてくれます。また2名以上の証人が必要ですが、遺言者が証人を用意できない場合は、公証人が手配してくれます。ただし、出張や証人に係る費用は別途必要になります。詳しいことは下記の日本公証人連合会のホームページをぜひご覧ください。

公証事務 遺言
公証事務 手数料

北海道には公証役場は全部で13箇所あります。下記のリンク先で所在地等を確認できます。各公証役場をクリックすると、当該公証役場のホームページに移動できます。

公証役場一覧(北海道)

札幌には2箇所ありますので、そのホームページのリンクも張っておきます。

札幌大通公証役場
札幌中公証役場

公正証書遺言の説明が長くなりましたが、今回のメインテーマはもう一つの方式である自筆証書遺言についてです。自筆証書遺言は遺言者がいつでもどこでも書くことができ、費用もほとんどかからないというメリットがあります。ただし、遺言書を紛失して相続開始後に相続人等が発見できなかったり、相続人等の間でトラブルが起こりやすいというデメリットもあります。トラブルの例としては、遺言書の隠匿・改ざんなどが挙げられます。そこで今年の7月10日から自筆証書遺言書を法務局(遺言書保管所)に預けられる制度がスタートしました。自筆証書遺言書を法務局(遺言書保管所)に預けることにより紛失・隠匿・改ざん等を未然に防ぐことができます。

自筆証書遺言書はA4サイズで片面だけ使用します。複数枚のときもホチキスでとじたりせず、封をしないで法務局に持参します。自筆証書遺言書のほかに持参する必要があるものは、「遺言書の保管申請書」「本籍の記載のある住民票の写し等(作成後3か月以内のもの)」「本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証など顔写真付きの身分証明書)」「収入印紙3,900円分(収入印紙は郵便局や法務局でも買えます。)」となります。「遺言書の保管申請書」は法務省のホームページからダウンロードできますので、下記のリンク先をご覧ください。記載例や注意事項も載っています。

自筆証書遺言書保管制度で使用する申請書等

注意しなければならないのは、保管申請は遺言者本人が法務局に出向いて行うということです。郵送では受け付けてくれません。また、親族や代理人等による申請も不可です。ただし、付き添いの方と一緒に行くのは構いません。そして、保管申請は事前の予約が必要です。下記のリンク先から、最寄り等の法務局(遺言書保管所)に予約を入れてください。予約可能な日時が表示されるようになっています。

法務局手続案内予約サービス専用ページ

最寄りの法務局(遺言書保管所)以外に保管申請ができるのは、本籍地を管轄する法務局(遺言書保管所)または遺言者が保有する不動産の所在地を管轄する法務局(遺言書保管所)です。通常は最寄りの法務局(遺言書保管所)が便利だと思いますが、ご都合に合わせて選択してください。下記に法務局(遺言書保管所)と管轄区域の一覧をPDFで張っておきますので、最寄り等の法務局(遺言書保管所)を確認してみてください。例えば、恵庭市であれば札幌法務局の本局(札幌駅北口の合同庁舎内)になります。登記の申請等を行っている恵庭出張所では遺言書の保管はしていませんので、注意してください。

【全国の法務局(遺言書保管所)一覧】

法務局(遺言書保管所)では自筆証書遺言書の形式面(署名や押印の有無等)の確認はしてくれますが、遺言内容についてのアドバイスはしてもらえません。その点が公正証書遺言と一番異なる点ですが、その分費用は安くなっています。遺言内容が法的に問題がないかどうか不安であれば公正証書遺言の方が良いでしょうし、法的に問題がないと確信が持てるのであれば、自筆証書遺言書保管制度の利用も視野に入るかと思います。遺言者の方の状況に合わせて選択してください。なお、自筆証書遺言書については、従来通り遺言者がご自身で保管することも可能です。また、自筆証書遺言書保管制度の令和2年7月の利用状況は、保管申請が2,608件、保管件数が2,586件となっています。早速多くの方が利用していますね。

少し長くなりましたので、自筆証書遺言書を預けた後の遺言者の手続き、遺言者が亡くなった後の相続人等の手続きについては、次回にしたいと思います。またぜひご覧ください。

それでは今回はこの辺で。
皆さんくれぐれもご自愛ください。