ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

サッカー日本代表がホームのオーストラリア戦に勝って6大会連続のワールドカップ出場を決めましたね。おめでとうございます!アジア最終予選では初戦UAE相手にホームでいきなり敗北しましたが、その後は苦しみながらも結果的に無敗で駆け抜けました。オーストラリア・サウジアラビアなどの難敵を抑えて1位通過することができて本当に良かったと思います。かつては日本がワールドカップに出るなど夢のまた夢だったことを考えると、6大会連続で日本がワールドカップに出場するなんて信じられません。とても嬉しいです。

そのオーストラリア戦では若手が躍動し、内容的にもワールドカップ出場を決めるのに相応しい素晴らしい試合になりましたね。さて来年はいよいよロシアでの本大会です。日本代表の本大会での結果は、予選リーグ敗退と決勝トーナメント進出を交互に繰り返していて、次は決勝トーナメント進出の番です。本大会もぜひ頑張ってください。応援しています!

それでは本題に入って参りましょう。前回は相続税などの税金(国税)の還付手続きについて詳細をお話ししました。今回はその続きで、相続税の中でも還付額が非常に大きくなる広大地評価についてです。まずは今年いっぱい適用される現行の広大地評価について解説していきたいと思います。

広大地に該当するか否かの判断は非常に難しいので、まずは広大地に該当した場合の評価額がどうなるかを先にお話ししておきましょう。算式そのものは下記のように非常にシンプルです。

路線価等×広大地補正率{0.6-0.05×(広大地の地積÷1,000㎡)}×広大地の地積

ここでのポイントは広大地補正率です。例えば1,000㎡の広大地であれば0.6ー0.05×(1,000㎡÷1,000㎡)=0.6-0.05=0.55となります。つまり45%の減額となるわけです。結構大きいですよね。それでは5,000㎡の広大地だとどうなるでしょう。上の算式に当てはめると、0.6ー0.05×(5,000㎡÷1,000㎡)=0.6-0.25=0.35となります。なんと65%もの減額となります。広大地に該当するか否かで評価額が大きく違ってくることがお判り頂けるのではないかと思います。

それでは10,000㎡、20,000㎡とだんだん広くなれば更に減額されるかというと、さすがにそういうことはなく、広大地補正率の下限は0.35になります。つまりそれ以上は下がらないわけです。したがって、5,000㎡以上の広大地であれば広大地補正率は一律0.35となり、65%の減額ということになります。

一つ例を挙げてご説明いたしましょう。相続財産の中に路線価2万円、5,000㎡の広大地に該当する宅地があったとします(広大地の要件は満たしているものとします)。もし広大地でなかったとすれば、評価額は単純計算で2万円×5,000㎡=1億円となります(減額・増額要素はないものとします)。これが広大地に該当すると、2万円×0.35×5,000㎡=3,500万円に下がります。6,500万円も相続財産が減るわけです。

上記の例の路線価2万円前後というのは北海道だと地方都市の住宅地に多い価格帯ですが、札幌でも少し郊外に行けばこのくらいの路線価の地域もあります。相続財産の中に広め(原則として1,000㎡以上)の宅地がある場合は、上記のようにかなりの減額になる可能性がありますので、確認が必要です。なお、広大地評価は既に相続税の申告を済ませていてこれから還付を受けようとする場合だけではなく、これから相続税の申告をする場合でももちろん適用できます。

それにしてもなぜこれほどの減額が認められているのでしょうか。それはこういった理屈です。宅地を開発して戸建住宅を建てるとしましょう。1戸や2戸であれば問題はないのですが、とても広い分譲地に何十戸も戸建住宅を建築して販売するとなると、道路沿いの住宅以外は道路までの出口がありません。まさか他人の敷地の中を通るわけにはいきませんよね。そこで分譲地内に最寄りの道路までの開発道路を作る必要があるわけです。

そうするとその開発道路の分だけ分譲販売できる宅地が減りますよね。これを潰れ地と言いますが、潰れ地はお金にならないのでその分だけ土地の価値は下がります。そこで相続税評価上も不動産取引のそういった事情を勘案して、広大地補正率を乗じて減額することを認めているわけです。理屈がきちんとあるわけですね。

それではその広大地に該当するための要件は一体どういうものなのでしょうか。この要件は非常に難しく、税務調査や裁判などでも広大地に該当するか否かの争いになることが多いのですが、長くなりますので続きは次回にいたします。次回以降は現行の広大地評価における要件、そして来年から大改正となる新しい広大地評価の内容と改正の背景、広大地評価の改正が相続に与える影響などについて順番にお話ししていく予定です。次回もぜひご覧ください。

それでは今週はこの辺で。
また再来週お目にかかります。