ホームページをご覧の皆さん、こんにちは。
税理士の臼井です。

残暑が厳しい中、台風が立て続けに日本付近に来ていますね。今年は日本近海の海水温が1982年以降で最も高いため台風が発達しやすいとのことです。ここ数日沖縄及び九州に接近した台風9号も大型で非常に強い台風でしたが、今週末から週明けにかけて沖縄及び九州に接近する台風10号は1959年の伊勢湾台風(上陸時929ヘクトパスカル)や1961年の第2室戸台風(上陸時925ヘクトパスカル)などに匹敵する記録的な台風になりそうです。大東諸島に最接近する6日(日)が915ヘクトパスカル、九州に最接近する7日(月)が925ヘクトパスカルという予報となっています。7月の豪雨災害から復旧途中の九州は本当に大変ですね。被害が少ないことを心から願っています。

それでは本題に入って参りましょう。今回も令和2年7月10日にスタートした自筆証書遺言書保管制度についてです。前回は遺言書保管の手続きについてご説明しましたが、今回は遺言書を預けた後の遺言者の手続き、遺言者が亡くなった後の相続人等の手続きについて、ご紹介していきます。

遺言書を預けた後に、閲覧する必要性が生じる場合があります。遺言者または相続人等が閲覧可能ですが、相続人等は遺言者が亡くなった後に限られます。閲覧には原本の閲覧とモニターによる画像情報の閲覧の二つがあります。原本の閲覧は遺言書を保管している法務局(遺言書保管所)に限られますが、モニターによる閲覧は全国どの法務局(遺言書保管所)でも可能です。手数料は原本閲覧が1,700円、モニター閲覧が1,400円です。遺言者が亡くなった後に相続人等の一人が閲覧の手続きをした場合には、法務局(遺言書保管所)から他の相続人等に対して遺言書保管の旨が通知されることになっています。手続等の詳しいことは下記パンフレット(PDF形式)の7ページ及び11ページ等をご覧になってください。

自筆証書遺言書保管制度のご案内(法務省民事局)

ただ、相続人等はともかく、遺言者については遺言書のコピーを保管証と一緒に保管しておけば、わざわざ法務局(遺言書保管所)に出向いて閲覧する必要はありませんから、その方が実際的ではないかと思います。また、相続人等についても、実務上は閲覧よりも後述する遺言書保管事実証明書及び遺言書情報証明書を請求することが多いのではないかと思います。

次に、遺言者や相続人(受遺者)等に氏名・住所等の変更が生じた場合には、変更の届出をしなければなりません。この手続きは全国どの法務局(遺言書保管所)でも行うことができます。郵送でもできますし、法定代理人等が行うこともできます。手数料はかかりません。手続等の詳しいことは上記パンフレットの8ページ等をご覧ください。

また、遺言者は保管申請を撤回し、遺言書を返してもらうこともできます。この場合の撤回とは、あくまでも保管申請の撤回ですから、遺言の効力とは無関係です。遺言者は遺言書を返してもらった後に、破棄することもできますし、ご自身で保管することもできます。なお、遺言書の内容を変更したい場合にも、いったん保管申請を撤回して遺言書を返してもらい、改めて変更後の新たな遺言書を預けることが可能です(保管申請手数料3,900円も再度必要です)。遺言書の内容変更の場合は、保管申請を撤回せず新たな遺言書を預けることもできますが(遺言書は内容が矛盾する場合には日付が後の方が有効であるため)、遺言書が2つあるのは紛らわしいですから、変更前の古い遺言書はいったん返してもらった方が無難だと思われます。保管申請の撤回に手数料はかかりません。手続等の詳しいことは上記パンフレットの8ページ等をご覧ください。

最後に、遺言者が亡くなった後に相続人等が交付請求できる証明書についてです。証明書には遺言書保管事実証明書と遺言書情報証明書の二つがあります。全国どの法務局(遺言書保管所)でも請求できます。郵送も可能ですし、法定代理人等が行うこともできます。

まずは遺言書保管事実証明書を請求して、遺言書が保管されているか否かを確認します。手数料は800円です。遺言書が保管されていることが確認できた場合は、遺言書情報証明書を請求し、遺言書の内容を知ることができます。手数料は1,400円です。ただし、遺言書の原本は返してもらえません。また、自筆証書遺言で通常必要となる家庭裁判所での検認手続きは不要になります。相続人等の一人が遺言書情報証明書の交付を受けた場合は、法務局(遺言書保管所)から他の相続人等に対して遺言書保管の旨が通知されることになっています。手続等の詳しいことは上記パンフレットの9ページ及び10ページ等をご覧ください。

自筆証書遺言書保管制度の概要は以上になりますが、下記パンフレット(PDF形式)も参考になりますので、併せてご覧ください。

預けて安心!自筆証書遺言書保管制度(法務省民事局)
自筆証書遺言書保管制度の利用をお考えの方へ(札幌法務局)

次回は毎年9月中旬頃に発表される都道府県地価調査の結果について、皆さんにお知らせする予定です(新型コロナウイルス感染症により発表が延期になった場合は、別の記事をアップします)。新型コロナウイルス感染症の流行が地価の動向にどのように影響しているのか、相続税等の申告に係る路線価との兼ね合いで要注目です。7月に当ブログで書いた関連記事もぜひご覧ください。

新型コロナウイルス感染症関連パート4(令和2年分路線価との関係)

それでは今回はこの辺で。
皆さんくれぐれもご自愛ください。